【成人】36歳の男性。妻と2歳の娘との3人暮らし。急性骨髄性白血病の診断で、中心静脈カテーテルが挿入され、寛解導入療法が開始された。妻は入院時に「娘が自分のそばを離れたがらず、夫の付き添いができない」と話した。 移植後60日。患者は軽度の移植片対宿主病〈GVHD〉のため退院の見通しがたたずにいる。看護師が外出を促すと妻に付き添われて外出するが、すぐに病室に戻ってきてしまうことを繰り返している。ドナーの兄が面会に来て患者を励ますが、布団をかぶって顔を合わせずにいる。意思の疎通に問題はない。
この患者の状態で最も考えられるのはどれか。
1.被害妄想
2.情動失禁
3.拘禁症状
4.兄への申し訳なさ
―――以下解答―――
(解答)4
<解説>
1.(×)移植後60日間という長い期間GVHDのために退院ができないことで、兄に対して被害妄想ではなく、せっかくドナーになってくれた兄への申し訳ない気持ちで会わせる顔がないと思っている。
2.(×)少しの刺激で泣いたり怒ったりする情動の調節障害で、特に脳血管障害の人に多くみられる。
3.(×)強制的に自由を阻害される環境下でおこる人格反応であるため、現在は外出も許可となってる患者には該当しない。
4.(○)ドナーである兄に感謝とともに早く退院したいのにできないという現状から申し訳ない気持ちでいっぱいと考えられる。