• 公開日: 2014/1/7
  • 更新日: 2020/3/26

【連載】月刊 小林光恵新聞

月刊 小林光恵新聞【第5号】差額ベッドの説明と同意について

今月は、「小林光恵の視点 差額ベッドの説明と同意について」と、「突撃! ナースの里帰り④」をお送りします。

第4回 “与薬”という言葉、どうでしょう! はコチラ


小林光恵の視点

差額ベッド(特別療養環境室)については、法的拘束力はないものの厚生労働省がいくつかの規定を病院に通知していますね。

確認のためにその通知内容のおもな点を次に記します。

  1. 差額ベッドは全ベッド数の5割が上限、国が開設する病院では2割以下、地方公共団体が開設している病院では3割以下とする
  2. 病床のベッド数は4床以下であること
  3. 病室の面積は一人当たり6.4平方メートル以上であること
  4. 病床のプライバシーを確保するための設備があること
  5. 少なくとも「個人用の私物の収納設備」「個人用の照明」「小机等及び椅子」の設備があること
  6. 「治療上の必要」あるいは病院側の都合で差額ベッド室に入院した場合は、差額ベッド料金を求めてはならない。患者の自由な選択と同意に基づいて差額ベッドの提供が行われる必要がある

以上の⑥の部分で、コミュニケーションが不十分だったためにおきた問題をときどき耳にします。

最近聞いた話ではーー。AさんとBさんが某病棟の同じ大部屋に入院したそうです。二人とも風邪をひいたためそれぞれに個室病室に移り、差額ベッド代が請求されたそうです。

Aさんは「病院の都合で移ったのだから差額ベッド代は支払わなくてもよいのでは?」と主張したところ、すみやかにその請求は取り消されたそうです。

一方Bさんは、と考え請求通り支払いし、あとになって不満が膨らんできたそうです。

説明と同意がどのように行われたのか詳細は不明なのですが、「言ったもん勝ち」の印象がありますね。

インターネットでも差額ベッド代を請求どおりに支払ったあとになって掲示板で相談したり「不当請求」として訴えたなどの話が散見されます。

病院の設備投資費は診療報酬に含まれませんから、差額ベッド代は病院の維持・存続のために貴重な収益であり、それは入院する患者側とて理解できることです。

それでも、患者側が納得のいかない残念なケースが次々と生じるのは、なぜでしょう。

日本は申請主義だとも言われ、申請する人(主張する人)のみに補助金が出たり控除されたりする面がありますが、そういう体質も関係しているのでしょうか。

某病院の整形外科病棟では、3万円代の特別室のほかには差額ベッドは設けずに、すべて治療・看護側の判断で個室や二人以上の部屋への入院調整をしているそうです。

また、民医連(全日本民主医療機関連合会)に加盟している病院では、差額ベッド代を徴収しない共通施策を持っていますね。

日本全体の病床数を減らし、急性期中心の入院になっていく流れの中で、さまざまな取り組みも参考にしながら差額ベッド制度のあり方をしっかり見直す時期がきているように思います。

さしあたり、このページで1点ご提案したいのは、差額ベッドの説明をし同意を得るのを、医事課の方に担当していただくということです。

現在は看護師が行うことが多いようですが、患者さんに直接医療・看護を実践する医師や看護師が差額ベッドの説明をして同意を得る形は、患者さんにとって言いづらさや遠慮がどうしても生じます。

薬のことは薬剤師に、食事のことは管理栄養士が直接患者さんに会って説明や面談をする形ができてきたように、医事課の方がレセプトの専門家として責任を持って説明し同意を得るのです。

その際、看護師は患者さんの権利擁護者(アドボケイト)として、差額ベッドを希望しない場合の権利もしっかりサポートする立ち位置で、医事課の方と患者さんのやりとりに立ち会う形もいいかもしれません。

もちろん、看護師は職員としてコスト意識をしっかりもつことは大前提だと思いますが。

イラスト

突撃! ナースの里帰り⑤

里帰りアンケートで「帰省する時期について、最もあてはまるもの1つを選んでください。」という質問に対する回答は次のような結果となりました。

アンケート集計グラフ

帰省する時期についてのアンケート結果

「お盆だけ」と「正月だけ」はほぼ同数です。

お盆派と正月派には何かしら違いがあるでは、と思って比較してみましたが、帰省する距離や時間(両方とも最長12時間がひとりずつであとは分布としてはだいたい同じ)も、年齢層も、帰省する日数も、両者に異なる傾向はありませんでした。

逆に目立って共通しているのは、20代と30代前半が少なめで40代が多めという点です。

回答4の「お盆と正月以外で帰省する」の126名の63%が35歳以下という結果を合わせて考えると、新人から35歳くらいの年齢層は、お盆や正月時は勤務していることが多いということかもしれません。

また、30代後半から40代の子育て世代になると、お盆や正月のタイミングで孫を連れて帰省する人が増えるのかもしれませんね。

今回、イラストでご紹介するのは、「正月だけ帰省する」と回答した44歳の女性です。

子供さんの年代によっても、帰省の形は変わってきますよね。

突撃! ナースの里帰り⑤イラスト


いかがでしたか? 来月号もお楽しみに!

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