• 公開日: 2017/6/28
  • 更新日: 2018/12/14

厳しい教員が差し伸べてくれた「優しい手」

テーマ:尊敬できる人との出会い

美しく気高くも、優しい人

kyoushi

厳しく、そして美しい教員

看護学校時代の教務。
外科出身、独身、「女史」という言葉がぴったりな、美しい先生。
さながら今の小池都知事のような、ピシッと筋の通った厳しい方。
この先生の前で緊張しない学生などいなかった。
彼女が雨の日に転んでしまった時、手に持っていた白衣を泥からかばって、ご自身が重傷を負った逸話は、私達の間では有名だ。
小柄ながらいつも背筋を伸ばし、ジャストウエストの白衣のベルトが印象的で。
スーツを着なくても、糊とアイロンのきいた白衣を見るたび、先生の心意気を感じるのだった。
これが私たちの正装。
これを身に着けたら、常に看護師としての自覚をもって患者さんに対するように。
美しい人は、いつも背中でそう語っていた。

学生たちとは全く違った「手」

そしてある授業での実習の時。
患者役の私は本当にお腹が痛くなり冷や汗をかいていた。
「どうしよう・・」「よりによって、この先生の授業なのに・・」
すると、異変に気付いた先生が「どうしたの?」とそっと近寄り手を当ててくれた。
その手はハッとするほどに優しく、温かく、学生たちの自信のない手とは全く違っていた。いっぺんに緊張が解け、私は安心して腹痛を訴えることができた。
この手のように患者さんに触れることができたら、どんなにいいだろう・・
痛む腹を押さえながら、こんな手を持つ看護師になりたいと一人思う私だった。

●執筆●ソフトクリーム さん

このエッセイは 「ナースエッセイ」 にご応募いただいたものです。
あなたも「想い」を綴ってみませんか? ご参加は こちら から!

関連記事