• 公開日: 2014/1/6
  • 更新日: 2020/3/26

【連載】ナースに英語は必要かしら?

第7回 英語や異文化から得られるもの

国際化の時代、看護師にも英語は必要でしょうか? 移住者や観光客が増えているから、というのはもちろん、実はそれ以上に、看護師に英語が必要なワケがあるのです。看護師と英語の深ーい関係を、英語教育の現状に触れながら、解き明かしていきます。


日本の常識が通じないときに気づくこと

英語を学び始めると、格段に視野が広がります。日本語と日本の常識に限られた世界から、壮大な大海原へ一歩足を踏み進める感じかもしれません。事実、「日本から見た世界」は驚きの連続であり、実際に海外で暮らすことは試練の連続であることが少なくないでしょう。

例えば、「いただきます、ごちそうさま」「いってきます、ただいま」「がんばろう、お疲れさま」など、私たちがいつも使う言葉が、日本独特の表現であることにまず驚きます。

また、私自身アメリカで暮らしていて、「なんだこの国は!」と怒りを覚えることは多々あります。

電話をかければつながらず、つながってもオペレーターの対応は最悪。どこに行っても口だけのサービス。病院にかかれば、あちこちから多額の請求書など、「日本だったらこんな苦労はしないのに」と何度口にしたかわかりません。

しかし、あらゆる質の違いを肌で感じ、苦い経験を重ねながら気づくことは、日本の常識は世界の常識ではないということです。

いつしか口癖は、「日本だったら……」から、「もうこの国だから仕方ない」という妥協に変わり、異文化として受け入れられるようになるのです。
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英語を通して知るは日本の素晴らしさ

同時に、「日本はなんて素晴らしい国なのだ」と客観視できる力も身につきます。

日本で生まれ育ち、その環境に慣れてしまうと、周りにあるものはすべて当たり前に感じてしまいます。しかし、一歩足を外に踏み出し、違った角度から日本という国を改めて見たとき、今まで気づかなかった日本という国の素晴らしさに感動し、日本人でよかったと心から思う瞬間に出合います。

また、「世界の人々から見た日本人」という視点も、私たちに誇りを与えてくれます。事実、日本人が思う以上に世界の人々は、日本人の勤勉さ、器用さ、忍耐強さ、助け合いの精神と誠実な態度に強い感銘を受け高く評価しています。

モノであればすぐにコピーされてしまう時代ですが、生まれもって培った日本人としての品性は、簡単には真似できない日本ブランドであることに異文化や言語を通して気づくのです。

英語を学ぶことは、決して日本語や日本の文化を疎かにするということではありません。

英語や異文化は、日本の常識に縛られない柔軟性、日本の素晴らしさを客観視する力、そして、日本人として誇りをもつきっかけを与えてくれるのです。

グローバル化でいっそう均一化する国際社会だからこそ、広い視野と世界観をもち、自分たちの強みをアピールする力をつけることは、これからあらゆる分野で期待される優秀な人材に必須となるでしょう。もちろん、看護の分野も例外ではありません。

次回は、「看護師に英語はいらない」もっともな理由についてです。

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