【成人】63歳の男性。妻と2人暮らし。肝機能異常を指摘されていたが、自覚症状がなく積極的な治療を受けていなかった。最近、倦怠感があり受診したところ肝機能データが悪化しており、腹腔鏡検査と肝生検のため入院することになった。慢性心房細動のためにβ遮断薬、血栓予防のために低用量アスピリンを内服している。精査の結果、肝硬変と食道静脈瘤が認められ、内視鏡的硬化塞栓療法が必要となった。医師から説明を受けた患者は「病気が悪くなっていくようだ。これから必要な治療についてたくさん話されてもついていけない。何のためにこの治療が必要なのかもう一度教えて下さい」と看護師に尋ねた。
内視鏡的硬化塞栓療法の目的で正しいのはどれか。
1.腹水貯留の予防
2.食道狭窄部の拡張
3.食道静脈瘤の出血予防
4.肝硬変部への薬剤の注入
―――以下解答―――
(解答)3
<解説>
肝硬変で肝臓が硬くなると、血液が門脈を経て肝臓に入りにくくなる。血液は別の経路(短絡)を経て静脈系に戻ろうとする。短絡路の血液が増加して、食道・胃静脈が拡張して瘤状になったものを食道・胃静脈瘤という。内視鏡的硬化塞栓療法は静脈瘤に硬化剤を注入して出血を防ぐ方法である。