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“尊厳死”を考えさせられる一冊「高瀬舟」

2014/8/12

「高瀬舟」森鴎外


高瀬舟 (集英社文庫)

あらすじ

高瀬舟という、罪人を島送りにする時の船で、乗っていた同心は、弟を殺した罪で島送りとなる喜助という男の様子が、どうにも満足気で、不思議に思う。
喜助は元来二人暮らしで他に身寄りもなく、その日に食べるものにも困るほど貧乏をしていた。弟は病気になり、治療することもできず、兄に苦労を掛けることに苦しんでいた。自殺を図った弟が、死を願い、刺さっている刃物を抜いてくれと頼んだ。喜助は思わず歯を抜いたが、それで弟が死んでしまった。
罪人となった喜助だが、弟の望みをかなえてやり、島流しになったおかげで食べることには困らなくなったという、複雑な状況である。
同心と喜助は、言葉を交わすこともなく、高瀬舟に乗っているという話。

おすすめポイント

私が一番初めにこの話を読んだのは、高校生のときである。
一般的にこの話は「尊厳死」がテーマであるといわれている。しかし、読む人の解釈で多方面からの受け止め方ができると思っている。私自身はこの話で、「足ることを知る」ということについて考えさせられた。
何がヒトを満足させるのか、ヒトが何を欲しているのか、計り知れないと思った。読書感想文で、そのままを書いて提出したら、現代文の先生に「この本は尊厳死の話だから、それについて書け」といわれ、反発した覚えがある。読書感想文は本来、読んだ感想なのだから、生徒それぞれで感じたことが違って当たり前なのに、それを受け止めない教師がおかしいと、今でも思う。
もちろん、「尊厳死」について、深く考えるきっかけにするとよい物語であると思う。
結局、喜助が弟を殺したことが、良かったか悪かったかという決着をつけているわけではなく、問題定義されているように感じる。
今の社会、長寿がもてはやされているが、本人の希望は関係なく、「(強制的に)生かされている」と感じる場面も少なくない。残される家族の思いがあまりにも優先されているように感じる。
日本は、自分の死について考え、表出する文化がない。「死ぬ権利」「死に方を選ぶ権利」について、語れる医療の現場になってほしい。

●執筆●かおりん さん
医療安全部にいます。
このエッセイは 「ナースエッセイ」 にご応募いただいたものです。
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