日本にいると、国民皆保険の感覚は当たり前です。しかし、この制度が世界中で通用するわけではありません。海外で何かあったときに「知らなかった」では済まされない事態に直面します。それは、短期滞在でも同様です。そこで、自身の経験と調査をもとに、アメリカの最新医療制度事情をまとめました。
虫垂炎で緊急手術したときはいくらかかる?
今回は、医療費(その2)のおはなしです。
前回は、アメリカ疾病管理予防センターの統計をもとに、頻度の高い疾患として、心臓発作と各種がんの医療費の事例を紹介しました。
今回は、脳梗塞や、小児に多い腎炎や喘息、予測できない虫垂炎や帝王切開などをまとめました。
ただし、事例がなかった疾病は、ニューヨーク州St. Luke’s Roosevelt Hospitalの平均請求額の統計を参照として載せています。
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この国で病気になってはいけない! 恐ろしい医療請求
*1ドル=102円(2014年8月1日現在)
*高額医療制度を利用した場合の自己負担額は、10万円以下です。
こちらに挙げた事例は、実際の請求書に基づいたほんの一例です。
例に挙げた20歳の虫垂炎のケースは、アメリカの尋常ではない医療システムが世界中で議論される発端となりました。
特に、虫垂炎は頻度が高いうえ、予測できず緊急手術が一般的です。同じ手術を受けても、病院によって請求は、15万円~1800万円とあまりにも差がありすぎます。
また、入院期間が10日以上になると、病院からの請求額はあっという間に1000万円をゆうに超えます。
したがって、どんなに大きな手術であっても、皆一週間以内で退院します。日本のように、1カ月近く入院することなど、よほどお金に余裕のある人以外あり得ません。
日本の医療制度にも問題点があることは否めません。
しかし、全国民が良心的な価格と世界で最も手厚い医療を受けられることを、私たちが「当然」と考えるのは誤解です。
日本の医療制度は、世界に誇るべくすばらしいものであることを、もっと多くの人に知っていただければ幸いです。
そして、もう一つ。
これからアメリカに旅行される際には、決して海外保険をケチってはいけませんよ。
何もなく楽しんで帰ってこられたら◎ですが、何かあっては取り返しのつかない事態に巻き込まれます。保険がないと、億単位の請求もあり得ることを肝に銘じておきましょう。
次回は、「医療大国アメリカから私たちが学べること」のおはなしです。