看護師のみなさん、こんにちは。小林光恵です。
私はこれまで、見えたことや気づいた点などを物語にして発信することが多かったのですが、もっとダイレクトな表現でお伝えしてみたいと思い、この連載をはじめました。
「看護現場の外にいる私ならではの視点」「みなさんになんらかの形で活用していただける内容」--。この2つを意識して取り組んでいきます。よろしくお願いいたします。
第1号は、「小林光恵の視点 『一肌、脱ぎませんか?』」と、「突撃! ナースの里帰り」をお送りします。
第1回 一肌、脱ぎませんか?
献血者数が減少しています。まず、下のグラフをご覧ください。
厚生労働省 献血者数の推移
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/iyaku/kenketsugo/1b.html
総献血者数が、昭和後期の約800万人をピークに減少しています。
平成19年に494万人に落ち込んだ後、平成21年から25年まで520~530万人前後を推移しています(グラフ化されていない平成24年=527万人、25年=520万人)。
200ml、400ml、成分献血、と採血の種類をふやし、献血年齢の枠をひろげ、効率的な供給を行うなどをして、さしあたり現在の供給は安定を保っているようです。
しかし、このままの流れでいくと、高齢化が進むことなども関係して、近い将来、血液が不足するおそれが出てきているのです。また、長年、国をあげて目標にしている「国内完全自給」が、いまだ果たされていません(血漿分画製剤の少なくない量が輸入されている。完全自給のためには、献血者をより多く確保する必要がある)。
では再び、さきほどのグラフにご注目ください。この数年の40代と50~60代の献血者はやや増加傾向、10代、20代は減少の一途をたどっています。増加しているのは、いわゆる団塊の世代と団塊ジュニアと呼ばれる世代を含む年代です。あと2、3年で団塊の世代の方々は献血年齢を卒業してしまうので、その分の減少も予想されます。
いま、10代、20代をはじめとして、献血できるすべての年代のより多くの方の協力が必要な時期がきています。
そこで提案です。ナースが一役買うのです。日頃、医療現場で血液製剤を扱っているナースが事実を伝えれば、大きな説得力を持つはずです。
ナースから社会に伝言「献血者が減っています」
SNSを利用して、さっそくこのメッセージを伝えませんか?
雨の日、年末年始を含む冬場、ゴールデンウィーク期間などは、献血者数がぐっと落ち込みますから、それを意識したタイミングで、メッセージを書き込むのもいいですよね。
突撃! ナースの里帰り①
「突撃! ナースの里帰り」では、里帰りをテーマに、家族について、都市と地方について、ナースの人生についてなどを、みなさんと一緒に考える機会にしたいと思っています。ご意見、ご感想など、気軽にお寄せいただけたらうれしいです。
また、連載にむけて、多くのナースのみなさんにアンケートにご協力いただきました。この場を借りてお礼申しあげます。
7月30日の朝日新聞朝刊の第1面で、無縁墓の不法投棄のことや全国の空き家率が過去最高の13.5%になったことを報じていました。
大きく掲載されていた不法投棄の墓石の山のカラー写真は、音を立てて、少子化、地方離れ、核家族化が進んでいる現在を端的にあらわしているように感じました。
実家と、どうかかわっていくのかーー。小さくないテーマです。
かかわり方の延長線上に、場合によっては空き家や無縁墓という事態があるのだと思います。
実家とのかかわり方が、キャリアデザインや人生を左右する面もありますから、ナースのワークライフバランスを考えてゆく上で、里帰りはヒント満載なのではないかなと考えています。
今月の里帰りナース
今月はアンケートにご協力いただいた方の中から、A子さん(38歳)の里帰りを紹介します。
A子さんは、今後の5年あるいは10年のうちに、結婚や出産をするかもしれませんね。その場合は、ご主人の里帰りとのかねあいで、里帰りのタイミングも違ってくるかもしれませんし、赤ちゃんが生まれれば、状況によっては里帰りはせず、お母様が逆に上京するということも考えられます。
また、結婚してもっと遠方に引っ越したなら、現在のようなペースでは里帰りできなくなるかもしれません。そして、お土産も東京でなくなると「東京ばな奈」ではなくなり、やわらかくておいしい何かに変わるのでしょうね。
昔、「お肌の曲がり角は●●歳」などと話題にすることがありましたが、里帰りの形が変化する「里帰りの曲がり角」は、30代後半から40代前半あたりのゾーンにあるように思いますが、みなさんどう思いますか?
いかがでしたか? 来月号もお楽しみに!