日本にいると、国民皆保険の感覚は当たり前です。しかし、この制度が世界中で通用するわけではありません。海外で何かあったときに「知らなかった」では済まされない事態に直面します。それは、短期滞在でも同様です。そこで、自身の経験と調査をもとに、アメリカの最新医療制度事情をまとめました。
日本と同じ感覚で病院にかかると……
今回は、入院期間(その1)のおはなしです。
日本の入院期間が、アメリカよりもかなり長いことはご存知の方も多いと思います。では、世界と比較した場合、日本の入院日数はどれほど長いのでしょうか?
今回は、世界と比較することでみえてくる日本の入院期間とその問題点についてのおはなしです。
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日本の入院期間の長さは世界一
2011年、経済協力開発機構(OECD)がすべての疾患を対象とした平均入院日数を国別に報告しています(下グラフ)。
その特徴をまとめました。
- なんと日本がダントツ1位です。OECD加盟国の平均入院日数が約一週間なのに対し、日本はその3倍の18.5日です。
- アメリカよりも入院期間が短いのが、福祉 ・ 医療 ・ 社会保障の先進国と言われる北欧のデンマークやノルウェーです。
- ほぼすべての国に共通していることは、さらなる入院日数の短縮をめざしていることです。
日本は、DPC(包括医療費支払い)制度が導入され、入院期間の短縮が意識されるようになりました。
しかし、患者さんの中には、医療改革によって「退院をせかされる」と思われている方も多いようです。
これが、極端に恵まれた医療の環境に慣れ親しみ、いつの間にか当然の権利になってしまったパターンなのかもしれません。
すべてを世界水準に合わせることがいいことではありません。しかし、日本の異常な入院日数の長さと意識の低さは問題です。まるで病院をホテル代わりに利用している、または、なぜ入院しているのはわからないケースに私自身、今まで何度も遭遇しています。
「退院をせかされる」という意識は誤解です。早く退院することは、“患者さんの心身にもお財布にも、そして日本という国にもプラスになること”、それを医療者が一丸となって取り組んでいるのです。
そうした意識づけは医療者だけでなく、医療を受ける患者さんにも必要なのではないでしょうか?。
次回は、「疾患別に日本とアメリカの入院期間を比較」したおはなしです。