• 公開日: 2017/9/1
  • 更新日: 2020/3/26

【連載】日本一若い!? 訪問看護師の挑戦

第40回 利用者家族を看護することの大切さ

昨年12月ケアプロに入職した前田は、現在、中野から足立区島根事業所へ異動になり、新天地で頑張っている。その前田にとって、在宅看護の本質を考えさせられたケースがあった。前田の体験を2回に分けてご紹介する。


手探りで始めた在宅看護

前田は予防医学に関わりたいと、埼玉県の中核病院手術室看護師からケアプロへ転職した。

昨年12月に入職し、ワンコイン健診に携われるかと期待していたが、下った辞令は「在宅看護」だったから、驚いた。予想外のことで手探りで始めた前田は、翌1月から70代の女性A様を担当することになったのである。

A様は、アルコール依存症から肝機能不全を起こした既往歴があり、認知症も強く出ている。仕事を持つ夫との2人暮らしだが、近くにキーパーソンである娘一家と、精神疾患のある息子がそれぞれ暮らしている。

ケアプロへ訪問看護を依頼されたのは、ケアマネジャーからだった。認知症により、服薬を忘れてしまう。アルコール依存も時折出ているようだ。服薬管理と体調管理を目的に、週1回の訪問看護が始まった。

連絡ノートで利用者家族とつながる

A様のアルコール依存症には、過去にあった夫の女性関係の影響が大きかったようだ。心の葛藤をアルコールで紛らわせていたのである。今では夫は真面目に帰宅しているのだが、前田が訪れるたびに、「いつ帰ってくるのかしら」と夫の帰宅時間をしきりに気にされていたという。

A様は、日中独りでいる寂しさを癒すために、ついアルコールに手が伸びてしまうのだ。A様は前田に、「お薬も飲めているし、お酒は飲んでいない。私はちゃんとできているから」と言う。事実に反しているけれど、前田は「そうですねぇ~」と受け止めた。

キーパーソンである娘とは、連絡ノートでやりとりしている。定期的な訪問看護の際のケア内容や看護師視点のA様の様子に対し、娘から見た母親の様子や困り事などが、けっこうびっしりと書かれていた。それが、次第にコメントが減っていき、ついには1か月ほど娘からの記入がなかったのである。

前田さんの写真

在宅では病院と違い、利用者様やその家族の話をゆっくり聞くことができる」と前田

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