【成人】45歳の女性。2ヶ月前から咳そうと喀痰が出現した。最近,倦怠感も強くなったため受診した。胸部エックス線写真で左肺上葉に異常陰影を認め,精査と治療とを目的に入院した。検査の結果,左肺上葉の腺癌と診断され,開胸左肺上葉切除術が予定された。術前肺機能検査結果は肺活量70%,1秒率85%であった。
手術前の呼吸練習で適切なのはどれか。
1.短速呼吸
2.胸式呼吸
3.口すぼめ呼吸
4.間欠的陽圧呼吸(IPPB)
―――以下解答―――
(解答)4
<解説>
肺活量が70%で拘束性換気障害を示しているため、肺を膨張させて肺活量を増やすような呼吸訓練が必要になる。
1.(×)短速呼吸は肺を膨張させる練習ではないため適切ではない。
2.(×)呼吸運動の80%を横隔膜が担っているため、腹式呼吸の練習の方が望ましい。
3.(×)口すぼめ呼吸は、呼気時に気道の内圧を維持して気道が虚脱しないようにする呼吸法であり、肺を膨張させるための訓練ではない。
4.(○)間欠的陽圧呼吸は、器械換気装置から吸気時に5~20cmH2O程度の陽圧が肺に送り込まれるため、気管支や肺胞を拡張させる効果がある。