みなさんは、海外の看護師事情を覗いてみたいと思ったことはありませんか? 日本と海外の看護の違いに興味がある、海外で活躍する看護師をめざしたいという人は少なくないようです。そこで、自身の経験と調査をもとに、アメリカの医療や看護師に関するトピックをお伝えします!
日本でもアメリカでも進む看護師の高学歴化
今回は、看護高等教育についてのおはなしです。
2013年3月に行われた日本の第102回看護師国家試験では、4年制大卒看護師の合格者は全体の36%でした。今後は、さらに看護師の高等教育化が進むと言われています。一方、アメリカではもっと積極的な教育改革が始まっているようです。
今回は、アメリカが目指すさらなる看護高等教育を紹介します。
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「大卒=エリート」から、「大卒=最低条件」へ
アメリカでは、2010年に米国医学研究所から発表された “The Future of Nursing ; Campaign for Action”が本格的に始動しています。
それによると、2020年までに学位を持った看護師を全体の80%以上にすることを目指しているといいます。これを受けて、多くの病院が看護師採用の必須条件に大卒を加えました。
さらに、学位を持たない3年制の看護学校を卒業した看護師が次々と大学に編入する現象が、いまアメリカでは起きています。
日本でも、看護職の高等教育の動きは進んでいます。しかし、看護師資格をすでに取得している看護師が、これから学位を取りに大学に行くというケースは、まだ一般的ではないように思います。
その背景の1つに、慢性的な看護師不足により、引く手あまたな就職事情があります。
そして、看護師は学歴ではなく、豊富な知識と経験のもと、一刻一秒を争う医療現場でいかに仕事をこなせるかが最も重要なことだと、臨床現場で考えられているからではないでしょうか?
即戦力を重要視するアメリカでも、看護師の知識と経験は、高く評価される能力です。しかし、今後ますます高齢化が進むこと、先進医療の多様化や複雑化を受けて、専門的な技術や知識を持ち対応できる看護師の育成は、高等教育なくして十分ではない、というのがアメリカの答えのようです。
ただでさえ、アメリカでは、看護師は「専門性・社会的地位の高い自立した職種」と言われます。それに今、高学歴が加わり、看護師の社会的地位はこれまで以上に高く評価されていくのではないでしょうか。
次回は、「看護教育(新人教育)」のおはなしです。