現役看護師兼イラストレーター仲本りささんが描く、看護師のとある1日。
( ▶前回のストーリーの続き )
肝臓切除のオペの勉強会を担当することになり、 病棟の外科の先生に勉強会内容の確認をしてもらうために見てもらったときの話です。
勉強会担当なんて…アンラッキー。
自分の勉強にもなるとはいえ、正直やや低めのモチベーションで取り組んでいました。笑
期限もあるし、なんとか教科書見ながら内容を網羅して間に合わせでパワーポイントを作って先生に持って行きました。
勉強会におもろさなんぞあるのけ・・・?
冷たく言い放たれたことに対する反発心から、
(なんでおもんないなんて言われなあかんねん!
というか、もうちょっと中身に目を通すくらいしてくれよ!)
と思っていた私。
しかし、その後に続いた先生の指摘にはぐうの音も出ませんでした。
(確かに・・・)
「もしかしたら読んでから評価しろって思ってるかもしれないけど、今俺がうわーーーこれ読むの大変そうだな、って思ったってことは、勉強会に参加した人は同じように感じるわけだし、受け身で勉強会に来てる人だったら、もうそれ以降話なんて聞いてくれないぞ。」
(なるほど・・・)
「やっつけ仕事で間に合わせで作ったことがすけて見えるな。」
(図星・・・)
「勉強会に参加する人が関心持ってくれる内容かな?って一回でも考えたか?」
(考えたこと、なかった・・・)
「あのな、勉強会なんてのは、やって終わりだったら本人の自己満でしかないだろ。 その後、自分たちの仕事に活かせなかったら、そんなもんやっても意味ないんだぞ。」
(ごもっともです・・・)
「今作ってきたこの資料で、勉強会に参加した看護師さんたちが病棟で仕事に活かせるって自分で思うか?」
(・・・。悔しいけど正直思えない。)
この先生、勉強会めちゃうまなんですよね。 誰にとってもわかりやすくて、やっぱり先生はすごいなあーなんて思ってましたが、
「どうしたら受けに来た人が関心を持てるだろうか」
「明日からの仕事に活かせる内容になっているかどうか」
そういうところから自己評価しながら、勉強会の組み立てをしていたからこそ、分かりやすかったのかと納得がいきました。
それに比べ、私の作ったパワーポイントなどの資料は、今思えば 「教科書丸写ししたからあとは自分で見ておいてね。」 という自分勝手なものだったなと思います。
その後、負けず嫌いの私はブラッシュアップにブラッシュアップを重ねて、 なんとか勉強会は良きものへ。
以来、人に教えるとか伝えるぞって時にこそ、自分の言いたいこと以上に受ける側のことを考えることが必要なんだなっていう教訓になった厳しめの先生からのご指導でした。
あの時はやや不服な反応をしてしまったかもしれませんが…笑 今でも役に立っています。
先生、ありがとうございます!
著者紹介
仲本りさ(risa_rsrs)看護や日常で感じたことをイラストにした投稿が人気の現役ナース兼イラストレーター。Instagramのフォロワー数は42,000人以上を誇る。(2019年6月現在)
2018年 「現役看護師イラストエッセイ 病院というヘンテコな場所が教えてくれたコト。」を出版。