病棟看護師として、避けては通れない「夜勤」。その夜勤での働き方を左右するのは、一緒に夜勤をするメンバーではないでしょうか?今回は、苦手な先輩と一緒の夜勤について、お話したいと思います。
苦手な先輩との夜勤、「あるある」
苦手な先輩との2人夜勤において、辛いと特に感じるのはこんなときではないでしょうか?
ケース1 「〇〇やっておいたよ」が一切ない
夜勤中は、膨大な仕事を協力してこなしていかなくてはいけません。しかし、新人ナースが苦手と感じる先輩ナースの多くは、こういった膨大な協力して行う仕事に対し、先回りしてやってくれていません。
それどころか、そういった先輩ナースは仕事中、ほとんど「声かけ」そのものがない、といってもいいでしょう。そうすると、ただでさえ夜勤で緊張しているのに加えて「あれも、これも自分一人でやらなければ」という焦りを生み、結果として今まで以上に「あの先輩は苦手だ」という気持ちを呼び起こしてしまいます。
ケース2 先輩の行動すべてが気になってしまう
ケース1にも通じますが、声かけをしづらいことで、もう一つ問題となるのが、「先輩が何をしたいのか、わかりづらい」ということです。
先輩が立ち上がると、「何かしようとしているのかな」と気になってしまいますし、ため息をついていると「私の行動が悪かったからかな」と気になってしかたありません。お互い無言となってしまうことで、「相手が何をしたいと思っているのか」がわかりづらく、結果として先輩の行動すべてが気になってしまい、自分も一切気が抜けなくなってしまいます。
ケース2 日勤に比べ、二人きりになってしまう時間がとても長い
日勤の場合は同僚が複数名いるため、苦手な先輩と接点を持つことは少なくなります。しかし、夜勤の場合は二人きりになってしまう時間が極めて長くなるため、お互い無言で過ごすことが耐えられず、より辛くなってしまいます。
これがもし、電車の中など日常の場面であったら、スマホを見るなどをして時間を潰すこともできます。しかし夜勤中のステーション内においてはそれもできず、ひたすらパソコンとにらめっこして書類作成を行うか、勉強を続けるなど、常に緊張状態が続いてしまうことになるのです。そんな緊張状態が続く夜勤が終わるころには、心身ともにぐったりとなってしまいます・・・
苦手な先輩との夜勤で心がけること
私自身、新人の頃の「苦手な先輩との夜勤」は胃が痛くなるほど、心身ともに辛いものでした。あれから10数年たち、新人の指導を行うようになった今だからこそ、「あのころ、もっとこうしておけば良かったな」と常々感じていることをご紹介します。
苦手という観念を自分から捨ててみる
苦手という意識を持ってしまうと、声かけをすることにも躊躇してしまいがちです。しかし、今、新人ナースが一番やらなくてはいけないこと。それは、先輩ナースと協力して、一晩、患者さんに安心・安全に過ごしていただくことです。
あの先輩は苦手・・・というのはあくまで自分個人の問題。その感情が、結果として患者さんたちへ迷惑をかけてしまうことにつながってはいけないのです。まずは「苦手」という概念を自分から外してみてください。
苦手な先輩にこそ、積極的に声をかけてみる
新人ナースでもさまざまなタイプの人がいるように、先輩にもさまざまなタイプがいます。相手を変えることはできません。だからこそ、自分から積極的に挨拶し、声かけをするように心がけてみましょう。そうすることで、相手の先輩も意外と良い反応を示してもらえるかもしれません。
自分が不安に思っていることを、直接伝える
一緒に夜勤へ入る時、それぞれ不安に思っていることも多いかと思います。そこで、ぜひ実施していただきたいのが、たとえ苦手な先輩であっても、事前に「次の夜勤に対し、自分はどういった点に不安を感じているのか」を直接伝える、ということです。自分から苦手なことを発信することで、先輩から思わぬ解決策が提案されるかもしれません。
どうしても無理な場合は、上司へ相談
頑張ってみても、どうやってみても、絶対にこの先輩とは無理だ、となる場合もあると思います。そうなったら、無理せず上司へ相談してみるのも一つの手段です。
師長は、夜勤のスケジュールを組むにあたり、「新人ナースと組んでも仕事に支障がない相手」という基準で相手を組んでいることがあります。つまり、師長はあなたがそこまで苦手意識を持っているということに、気がついていないかもしれません。
自分でなんとかする、ということも大切なのですが、どうしても無理な場合は、その気持ちをそのまま上司へ伝えてみることで、すんなりスケジュール変更ということも十分あり得ます。
長く働き続けるために
「社会人なんだから、自分で解決しないと」そんな風に気負いされている方もいらっしゃるかもしれません。でも無理をすると、それがゆくゆく自分を苦しめる原因になってしまうこともあります。苦手な先輩とも、できるだけ自分からコミュニケーションをとることも大事ですが、無理は禁物。限界を超えない範囲で仕事を行っていくというのも、これから長く看護師として働く上で大切だと思っています。
この記事を書いたのは
山村 真子
看護師として働きながら、ライターの仕事もしている、アラフォーママナース。看護系以外にも、育児や病気、介護など幅広い分野の執筆を行っています。時短勤務中だが、毎日定時に帰れるはずもなく、保育園の送迎はいつもギリギリなのが最近の悩み。
イラスト・はや舌