テーマ:患者さんから言われて印象的だった言葉と、そこから学んだこと
初めての死
新人ナースの「息抜きの場所」
私は新人で整形外科病棟に配属になりました。
その時初めて受けもった患者さんは、腫瘍のために両下肢を切断した70代の男性Aさん。
化学療法も行ったりなど、数ヶ月の入院を余儀なくされていました。
しんどくて辛いだろうに、Aさんはいつも新人の私を温かく見守ってくれていました。
採血が下手な私に「失敗してもいい。とれるまで私で練習しなさい。」と腕を差し出して下さったり、先輩に怒られた日には「大丈夫か?」と声をかけて下さったりもしました。
世間話などもたくさんして、私の息抜きの場所…でもありました。
亡くなった患者さんがくれた「手紙」
しかし終末期を迎えることになってしまいました。
新人の私は受けもつこともなくなり、Aさんは個室に移動になったため、私は部屋にも入りづらくなり会うこともなくなりました。
そしてそのままAさんは旅立たれました。
私にとっての患者さんの初めての死でした。本当につらく、辞めたくなりました。
しかし後日、娘さんからAさんが私にと、書かれていた手紙を頂きました。
そこには「あなたとお話するのが唯一の楽しみでした。将来きっと立派な看護師さんになれる。がんばれ!ありがとう」と字はいびつながらも大きな字で便箋いっぱいに書かれていました。
私は部屋が移動になったからと訪床しなかったことを後悔しました。
ベッドサイドに足を運ぶ大切さ
それからは誰よりも患者さんのベッドサイドに足を運び、患者さんや家族に寄り添う、そんな看護師をめざして今日までやってきました。
その手紙は今でも私の大切なお守りです。