エッセイ

ナースのちょっとイイ話

元看護師の患者さんが教えてくれた、ストーマ患者の「本音」

2017/9/20

テーマ:患者さんから言われて印象的だった言葉と、そこから学んだこと

私のストーマでみんなを助けてやれ!

obatyan

元看護師の患者、Cさん

皮膚・排泄ケア認定看護師を目指し、学校に入学する前の事。元看護師であったCさんが私の病棟に入院してきた。
Cさんはストーマを持っていて、気が強く、看護師の小さなミスを見つけては機嫌を損ね、怒りだす事も少なくはなかった。
次第に看護師達はcさんとの関わりを拒むようになり、Cさん自身も看護師を避け自分の娘に身の回りの事を頼んでいた。

合格をくれた、その日に…

ある夜、装具から便が漏れてしまったが娘は既に帰った後。
夜勤で丁度部屋を回っていた時、Cさんは私に装具交換を依頼してくれた。
丁寧に、ゆっくり時間をかけながらCさんの意向に沿って装具を交換した。
それから、Cさんから病気の事や家族の事、看護師時代の事などの話を聞かせていただくことが増えていった。
話していくうちにCさんの思いや、看護師に怒り出してしまった背景を知った。
「みんな私のストーマを物の様に扱う。看護師だからって気軽に触って良いわけじゃない。」
Cさんの言葉を受け、カンファレンスでCさんについて話してみた。
しかし、想いを共有することができなかった。
相変わらず雰囲気の悪い中、私は積極的にCさんとの関わりをふやしていった。
あるとき、私が皮膚・排泄ケア認定看護師を目指している事を話した。
それを聞いたCさんはストーマを出して「私が実験台だ!私のストーマでみんなを助けてやれ!これからたくさん練習しなさい。」と、毎回ストーマケアを行わせてくれた。
「ストーマがある人の思いを知りなさい。生活を知りなさい。毎日ただルーチンワークをする看護師だけには絶対にならないようにね。そんな看護師になったら、化けて出てやるよ。」
ある朝、いつものようにストーマケアを行なった後、「よし、合格!ありがとうね。」と笑顔で言ったCさん。その1時間後に意識がなくなりそのまま同日に息を引き取った。

Cさんから学んだことを生かして

認定看護師の学校に入学後、楽しく充実した学生生活だったが同じくらいに辛い事も大変な事もたくさんあった。その度にCさんを思いだした。
職場に復帰した今もCさんを時々思いだす。
私を成長させてくれて、ありがとうございます。
Cさん、見ていて下さい。私はCさんの身体から学んだ、心から学んだ全てを活かして、これからたくさんの患者様をケアして参ります。
Cさんのストーマでみんなを助けてあげられるように。

●執筆●奈季のmam さん
慢性期病棟で働く中堅ナース
新米皮膚・排泄ケア認定看護師
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