テーマ:看護師「ならでは」の経験
エンゼルケア
異動の翌日に…
病棟で、仕事がうまくいかず退職したい、看護師をやめたい、と悶々と過ごしていた。
ある日 部長に呼び出され、訪問看護への異動を命じられた。
異動し次の日、ターミナルの患者さまが亡くなった。
私は初めて訪問するお宅で、患者さまの事も知らない状態でした。
ご希望の浴衣を着ていただくために
エンゼルケアをさせて頂いた。
地域が特定されそうなので伏せるが、祭りが盛んな町だった。
地区の着物を着て、たすきをかけている世話人とかがいる。
亡くなった方なので あわせを反対にすると着物の柄が見えなくなる為、ご家族に尋ねた。
希望通りに浴衣を着て頂き、帯をどうしようか?ともうひとりのスタッフと話しあった。
『ご遺体を転がすのは失礼だけど、なんとかして着てもらいたい。』
私が閃いた。
『座って頂きましょう。』
「おじいちゃんらしくしてくれて、ありがとう」
家族さんの中で 高校生くらいの男の孫さんがいて 呼んで手伝ってもらった。
帯を結びたいので「おじいちゃんの前にまわって、しっかり肩を支えてね。」と。
しっかりした孫さんで帯の結び方などを教えてくれた。
バスタオルなどを込み きちんと整えた。
奥さんが泣き笑いをして何度も何度もありがとう、と言ってくださった。
『おじいちゃんらしくしてくれて、ありがとう。ただ眠っているみたいよ。』
亡くなる前には、食事も摂れずいわゆる枯れて亡くなったと。本人もそれを望んでいたらしい。
亡くなり方にもいろいろあるが、その方の希望をお手伝いさせて頂き良かったと思う。
何も頂いてはいけないのだけど、最後に栄養ドリンクを頂きその場で飲んだ。
「最期」を見送るにはいろいろな形がある
最近 祖母が亡くなり、業者が全てキレイにしてくれたが、ケアは見る事は出来なかった。
湯灌、エンゼルケアをしてとてもキレイに安らかな顔になった。
『最期』を見おくると言うのには いろいろな形が、あると改めて感じた。