テーマ:最も心に残っているエピソード
患者さんの気持ちに寄り添う事
夜勤中、ステーションに来ていた患者さん
心不全で何度も入退院を繰り返していた60代男性。
離婚歴があり、生活保護を受けながら独居。何度も入退院しているのに、過去の事は話したがらなかったため、看護師たちも無理に聞こうとはしてこなかった。
状態が良くなく、夜は不安で休む事が出来なかったため、朝まで看護ステーションに来て他愛もない話しをしていた。
突然話してきた、患者さんの過去の話に…
ある夜、同じように看護ステーションに来て話しをしていると「何の仕事していたと思う?」と聞いてきた。
今まで話したがらなかった事を言ってきたのでビックリしたが、やっていた仕事の話し、結婚していた頃の話し、若い時はヤンチャしていた話し等をしていた。そして「写真は処分しちゃってないんだけど…。」と言って、何かの証明写真なのか若い頃の小さな白黒の写真を見せてくれた。
どうして今まで言いたがらなかった事を自分から話したのか…この日の夜の事は、凄く気になった。
2日後に仕事へ行くと、その患者さんはいなかった。前の日の夜に急変し直ぐに亡くなったとの事。
少しでも「良かった」と感じられるような関わりを
ご遺体を受け取りに来たお兄さんに、その夜の事を伝えると「きっと死期が近い事を感じて聞いてほしかったんだと思います。ありがとう」と言われました。
夜勤も忙しいので看護師によっては「仕事しているので来ないで!」と言った人もいたそうです。
暇ではないことは、承知していたと思います。
点滴や内服準備、ナースコールに出たりと動きまわりながら仕事をしていても、怒ったりせず待っていましたから。
不安を抱えた患者さんの気持ち、残りの人生を少しでも「良かった」と感じられるような関わりを大切にしていきたいと思いました。