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【連載】泣いて笑って訪問看護

第13回『愛犬までも救急搬送!?』―ケア対象者の心の支えを考える

  • 公開日: 2014/1/4
  • 更新日: 2020/3/26

 

医療の場が在宅へと比重が高まるものの、まだまだ知られていない訪問看護。ここでは訪問看護の実際について、エピソードを通じてご紹介します。


探究心の強いN先輩

訪問看護師になってから、正直仕事が楽しくてしょうがない。
別に、病棟勤務がつまらなかった訳ではない。ただ、今の訪問看護ステーションには面白いスーパーナースが揃っているので、毎日刺激されることが多いのは事実。
今回は私の大先輩のN看護師のことを書きたいと思う。

N看護師は某大手病院の救命救急で、いろんな研究に取り組んできたそうである。緊迫している救命救急の環境の中で、いかにリラクゼーションを与えることができるかを考え、入浴による脳波の変化を研究していたとか。
現在は訪問に移り7 年。
その探究心は今もなお健在で、訪問の現場でも発揮されている。

床擦れができないようにするにはどのようにしたらいいか?
単なるポジショニングでは直ぐに崩れてしまう。ならば、こんな形にしたらどうか?
思案に思案を重ね、ご自宅にあるバスタオルと100均で買えるマジックテープで、現在、素晴らしい除圧枕を完成しつつある。
「特許とれるかもしれないから作り方は秘密?!(笑)」などと笑いながらも、いろんな創作に取り組むパワーは留まるところを知らない。

在宅には病院のように、ものが揃っていないため、自宅にあるものでいかに工夫して質の高いケアを提供できるかということが要求されてくる。

そういう意味では、自分の工夫次第で、ケアの内容はいくらでも変えることができる訳であり、本当にやり甲斐のある、面白い現場ともいえるだろう。

※次は利用者様にとっての”家族”とはです。
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利用者様にとっての“家族”とは

そんなN看護師は、利用者様だけでなく、家族全体のフォローも欠かさない。

先日は、訪問時、一人暮らしのおじいちゃんの愛犬が痙攣発作を起こしており、N看護師は獣医に連絡をとり救急搬送したとのこと。

「もうさ、行ったらマリン(愛犬)の様子が痙攣気味でおかしいんだよね。Aさんのマッサージしながらも気になっちゃってさ。

Aさんに、「いつからマリンは具合悪いの?」って聞いても、認知があるからはっきりしないし、一人じゃ病院にも連れて行けないんだよなあ・・・って困ってるからね。

「獣医さんは何処にかかってるの?往診に来て貰ったことはあるの?」って聞いても覚えてないし、そのうちマリンの痙攣も酷くなってくるし。

だから、しょうがないから診察券を片っ端から探して、ようやくそれらしいのを見つけて、Aさんに「電話するよ?」って聞いたら、「お願いします!」みたいになってね。

電話したら、かかりつけの獣医さんだったみたいで、話が通じて、すぐに迎えにきてくれることになって・・・。

「到着まで何分ですか?」
「はい!!診察券とゲージと、○○を用意しといて待ってますのでお願いします!」なんてね(笑)。

もう、いつも人間の救急搬送してるけど、今日はペットの救急搬送までしちゃったわよ。そんなことしてたら次の訪問の時間になっちゃって、結局Aさんに今日はまともにマッサージしてあげられないまま終わりになっちゃったわ。」 と帰ってきた先輩。

しかし、後日、私が訪問したところ、おじいちゃんは“N看護師に本当に心から感謝してる”と私に話して下さった。

この利用者様は、訪問に入った時『愛犬と散歩をするために、また歩けるようになりたい』という目標を掲げたほどマリンを心の支えにされていたからだろうか。

「あの人のお陰でマリンは助かったんだよ。マリンが逝くか僕が先に逝くかわかんないけどね。あの人が1番いいや」と。

もちろん、利用者様へのケアが1番最優先であるべきだが、長年連れそってきた愛犬を助けたこと、それも間違いなく、その利用者様にとって欠かせない大切なケアの一つだったのではないだろうか。

そのおじいちゃんは今日も、命をつなぎとめた愛犬と二人で生活されている。

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