• 公開日: 2015/7/8
  • 更新日: 2018/12/13

何もない6畳1間が、私のお城でした

テーマ:私の上京物語

西日だけが入る狭い部屋。

kurashi

自力で見つけた安いアパートへ

学生寮生活の人間関係に疲れて、卒業試験前に始めた一人暮らし。
バイトでコツコツ貯めた軍資金で安いアパートを見つけた。

6畳一間の部屋で

お風呂は近所の銭湯。今の様にコンビニがあるわけではないので、一つの鍋で、炊飯と味噌汁、簡単な煮物を作った。
親の仕送りもない私の、唯一の電気製品は先輩のお下がり冷蔵庫。洗濯は手洗い。
段ボール箱の食器棚にマグカップと、ドンブリ一つ。衣類と本は押入れの下の段に並べて。テーブル代わりの三段ボックス。
何もないから、6畳一間でも十分な広さだった。

寂しさをいやしてくれた友人

一人の時間がこんなにありがたいのかと思う反面、寂しいと思う事も..。
そんな週末は友人が泊に来て勉強をした。布団は一組しかないから、朝起きるとどちらかが、かけ布団に包まる、敷き布団に包まるスタイルで目覚めた。不思議と風邪も引かず。

約40年前のことだけれど

やがて就職が決まった。
新築の寮で全個室だったので、その友人と隣どうしで入寮。何にも家財道具がなかったので、引っ越しも金銭的にも楽だった。
オンボロアパートで、友人と二人で布団の取り合いした日々は、約40年前の事だが、昨日のような気がする。
看護師として、社会人の第一歩を踏み出したあのアパートはもうないかも知れない・・・。

●執筆●たんたん さん
もうすぐ定年。アッという間でした。
看護の道に進んで良かったと思えるフィナーレを夢見て頑張って来たけれど、紆余曲折。色々ありました。
でも、今の私があるのは、看護師になる事を反対しながらも、節目々でこっそりサポートをしてくれた今は亡き母のお蔭。
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