今月は、「小林光恵の視点 『名札の名前をもっと見やすく!』」と、「突撃! ナースの里帰り」をお送りします。
今回は、看護師のみなさんが業務中につけている名札について。
名札は、「白いプラスチックのプレートに名前がプリントされた胸ポケットにつけるタイプ」や「透明パスケースに写真付きの社員証みたいなカードを入れて首からぶら下げるタイプ」などがありますね。
ほかにも形態には施設によってバリエーションがあります。
いずれにしても多くの場合、見えにくいです。
文字が小さい、表面が反射して見えない、裏返っている、などの理由で。
まあ、見えにくいほうがいいのだという場合もありますね。
院内の売店で、外来受診の患者さんなのか、面会の方なのか、取引き業者の方なのかわからない誰かに、買っている物と氏名を見られて「あら、小林光恵という人は、煎餅の『歌舞伎揚げ』と『フルーツごろっとヨーグルト』と『よっちゃんの酢漬けイカ』を、どこでいつ食べるんだろう」なんて想像されるの嫌ですからね。
また、あれこれ詮索されたくないもっとデリケートな物だって買わなければならないときもあるし。
ATMを使用するときにだって、やっと病院に導入されたカフェで買うときだって、場合によっては職員食堂でだって名札は見やすくないほうがいいという人もいるでしょう。
名札が半分隠れてしまうほどに輪ゴムを何本もかけてしまう気持ち、わからないではありません。 なんと、ネームを裏返しているツワモノもいらっしゃると聞いたことがあります。
しかし、患者さんからは、つねによく見える名札である必要があると思うのです。
私は、看護師さんと立位や座位で対面した状態で、名前が見えなければ身を乗り出したり覗き込んだり、必要ならばメモしたりできます。それでも名前が見えにくいことが多いのです。身軽には動けない場合もある患者さんは、さらにナースの名前確認は容易ではないのです。
また、声で自己紹介があったとしても、うまく聞き取れないことが少なくないです。
そして、「えーと、さっき、伝言を頼んだ人はなんといったかな」などと、余計なことで気をもまなければならなくなってしまいます。
入院期間短縮の方向にある現在、患者さんがひと目でナースの名前を確認できる状態にすることが、信頼関係を築く上でもプラスになると思うのですが、いかがでしょう。
たとえば、患者さんと接するときにだけ、氏名を大きく見えやすく記したワッペンみたいなもの(布製なら固い材質で患者さんを傷つけることも、表面が反射することもない)をワンタッチ式にして胸元などに貼るといった形もよいのではないでしょうか。
ここで私の暗い過去を一つご紹介しましょう。
ナースとして病院に就職したばかりのころ、ある男性患者さんが先輩ナースに言いました。
「名札見えなくて、あの看護婦さんの名前わかんなくてさ。えーと、小柄で、手のあたり、ピグモンみたいな動きをしたりする」
「あっ、小林です」
一発でわかったらしいのが情けないのですが、ピグモン小林などというあだ名がつかなかっただけでも、ありがたいと思わなけばなりません。
ピグモンの手の動きについては、ネットで動画検索をしてみてください。
突撃! ナースの里帰り③
「突撃! ナースの里帰り」では、里帰りをテーマに、家族について、都市と地方について、ナースの人生についてなどを、みなさんと一緒に考える機会にしたいと思っています。ご意見、ご感想など、気軽にお寄せいただけたらうれしいです。
また、連載にむけて、多くのナースのみなさんにアンケートにご協力いただきました。この場を借りてお礼申しあげます。
今月の里帰りナース
里帰りのアンケートに協力してくださった463名のうち、約3割の方が「時期にかかわらずあまり帰省しない」という回答でした。
今回は、その3割の中のお一人、Aさん(女性)をご紹介したいと思います。
彼女は、「SOULの故郷」を訪ねることについて回答してくださいました。
横浜から沖縄に、電車と飛行機と船を乗り継いで(旅費計8万円)、片道5時間かけて訪ねるそうです。
Q1 そのときの楽しみなことは何ですか?
食!!!と海
Q2 訪ねた先でいつも作ってもらう料理は?
ゴーヤチャンプルー、ジーマーミー豆腐、刺身、豚肉料理、イチリー、魚料理♪
この回答の!マーク3連続と、♪マークから、楽しさと美味しさと嬉しさが伝わってきます。
Aさんは、小泉今日子さんと同じ世代ですが、看護師としてのキャリアは18年ですから、社会人入試で看護師免許を取ったのかもしれませんね。
人生のいろいろがあって、訪ねる沖縄には、無二に親友がいるのかもしれません。
考えてみれば、いまは実家に帰省している人でも、その先は両親の他界などで帰省しなくなる可能性もあり、Aさんのように訪ねることができる大切な場所があるというのは大事なことかもしれませんね。
いかがでしたか? 来月号もお楽しみに!