• 公開日: 2011/11/14

【連載】現場で使える!英会話1分間レッスン

症状の聴取を英語でするには?[消化器編11]


外国人患者さんに英語で対応できる? アメリカの医療現場で実際に使われている、患者さんにもすんなり伝わる簡単な医療英語をマスターしよう!


患者さんに一番近い存在の看護師は、「今日はどうされました?」から始め、症状を聞いて患者さんに起こっている問題の把握を行います。外国人の患者さんに対してもコミュニケーションを通して主観的情報を収集し、客観的情報と合わせて全身状態を把握することが必要です。

今回も、主な食道の疾患:胃酸の逆流と胃食道逆流症の原因・症状・事例を紹介します。

胃酸の逆流(acid reflux)は、胃液や胃の内容物が食道に逆流して、胸やけなどの症状を引き起こす現象です。この逆流によって食道粘膜が傷つくと逆流性食道炎(reflux esophagitis)という疾患になります。

胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease)とは、週2回以上のacid refluxによる胸やけなどの不快な症状が続く疾患をいいます。頭文字をとってGERD(ガード)と呼びます。

Acid refluxやGERDは、命にかかわるような疾患ではありませんが、近年増加傾向にあり、食事が楽しめない・ぐっすり眠れないなど、生活の質(QOL)に影響を及ぼします。

多くの患者さんは、生活習慣の改善や内服治療によって症状が改善するため、教育的なかかわりや支援が重要になります。今回も以下の事例に沿って、Acid refluxとGERDの症状の把握に必要なフレーズを紹介します。


事例:45歳・男性
数か月前から胸焼けと口の中に酸っぱいものがこみあげてくる症状が食後に出現していた。最近になって仕事が忙しくなり、外食や飲み会の機会が増えてくると症状はひどくなり、焼けるような痛みが胸と背中まで広がるようになった。また、風邪もひいていないのに咳が続くようになり、のどの痛みや声の枯れも出現、市販の風邪薬を服用しても良くならないため、本日外来を受診する。
来院時、血圧149/92mmHg、脈80回/分、体温36.2℃、SpO2 98%、身長168cm、体重86kg、BMI30、飲酒:ビール350ml缶2本/日、喫煙:1日20本程度
主訴には「数か月前から胸焼けがある。最近は、胸が痛く風邪のような症状が治らない」と記載されていた。

本日のフレーズ

「胸の痛みもあるようですね。どのあたりが痛いですか? どんな痛みですか?
痛みは背中のほうまで広がっていませんか? 食後に痛みが強くなりませんか?
心臓に問題があると言われたことはありませんか?」

主訴の胸痛の症状を詳しく聞いて把握していきましょう。
狭心症の発作とGERDの胸の痛みは似ていることがあるため注意が必要です。
症状のアセスメントツール:*OLDCARTに沿って確認していきます。

さて、みなさんはどう英語で表現しますか?


* OLDCARTとは、Onset(発症)、Location(症状のある部位)、Duration(症状のある持続時間)、Character(症状の性質))、Aggravating/Alleviating factor(増悪・軽減要因)、Radiation(症状の広がり)、Timing (症状がいつ起こるのか)の頭文字をとった症状のアセスメントツールです。

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