エッセイ

ナースのちょっとイイ話

仲良くなった患者さんの「もう、ダメかもしれない」に、私は…

2015/10/7

テーマ:患者さん・その家族からの「忘れられない一言」

仲良くなった患者さん

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「もう来るな」「ダメ!毎日来い」

元刑事で、体つきもよく、目つきが悪く、もともとハゲ頭だったので、ヤクザに間違われることもあった患者さん。
初めての入院の時に私が受け持ちになったことで、仲良くなりました。
癌の末期になり、入退院を繰り返し、私が受け持ちにならないこともあったのですが、入院中は必ず、訪室するようにしていました。
「もう、来るな。顔も見たくない。」と言いながら、「じゃあ、明日から来ないね。」と言うと「ダメ!毎日来い。」と言ったり、私の顔を見ただけで涙を流す人でした。

患者さんと二人きりの時に出た「言葉」

亡くなる2日前、ちょっとした隙に家族が離れて二人になった時、「もう、ダメかもしれない。」と私に話しました。
おそらく、家族には言えなかった言葉だったと思います。
私は「自分がダメと思ったら、そこで終わるよ。先のことは誰にも分からないよ。」というのが精一杯でした。
私に最後を看取られたくなかったのでしょう。「明日、夕方には来るから、待っててね。」と言ったのに、私の出勤前に亡くなっていました。
家族も私が来ればと、「もうすぐ〇さんが来るよ。」と待っていてくださったようです。

ナースとして、どう声掛けすればよかったのだろう?

「もう、ダメかもしれない。」
この言葉に対して、私は適切な答えができたのか、もっといい言葉があったのではないだろうかと、この患者さん、ご家族を忘れることはありません。
葬儀に行った時、改めてこの患者さんがどれだけすごい人だったのか思い知らされました。
たくさんの参列者の中、奥様が「主人が一番、好きだった看護師さん。」と他の家族に言ってくれ、ただただ「お役にたてませんでした。」と頭を下げるだけでした。

●執筆●まりも さん

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