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  • 公開日: 2022/10/17

夜勤専従勤務の「きつい」「体壊す」は本当?シフト例・給料を解説

看護師の夜勤専従という働き方を解説します。夜勤ばかりが続いていると昼夜逆転してしまい体を壊してしまうのではないかなど、ネガティブなイメージが強いかもしれませんが、デメリットばかりではありません。今回は夜勤専従の働き方について、待遇や給料、働くメリット・デメリット、健康に配慮しながら働くためのポイントをまとめました。

看護師の夜勤専従の働き方は?

看護師の夜勤専従とは、夜勤のシフトだけを専従で行う看護師の働き方です。看護師の仕事は日勤・夜勤の両方を行うものですが、昨今では家庭の事情などで日勤のみの日勤専従者も増えています。実際に病院勤務看護職の2/3が夜勤・交代制勤務に従事しているものの、約2割は夜勤をしていない状況にあります。しかし病院や施設などは24時間365日稼働しており、夜勤ができる人は必要不可欠です。夜勤専従の看護師は、こうしたケースの職場で活躍する働き方です。

夜勤専従の看護師がなぜ必要とされるのか

働く看護師のなかには、小さいお子さんや介護を必要とする家族がいるため夜間に家をあけられない人や、腰痛など身体に不調を抱えて長時間におよぶ夜勤ができない人、転職したばかりで日勤の仕事を覚えるのが精いっぱいな人など、ライフステージや個人の事情、知識やスキルレベルの関係から「夜勤ができない・望まない」状況にある看護師もいるでしょう。しかし、前述のとおり病院や施設などは24時間365日、看護師を必要としています。夜勤ができない・望まない看護師ばかりになってしまったとき、夜勤をする看護師の確保のため、一時的に常勤スタッフのなかから夜勤専従を編成したり、あらかじめ常勤や派遣、パートなどで夜勤専従を雇ったりして、人員配置を調整します。

夜勤専従は日勤がない?

夜勤専従は、診療報酬の算定ルールにおいて、原則として勤務表に日勤が組み込まれない、日勤をしない者です。しかし、欠勤者や緊急のやむを得ない場合に限っては例外もありますが、「頻繁に日勤を行う必要性が生じることは想定されないことから、日勤を行うことが認められるのは、月に1回であることに留意されたい」と、しています。

夜勤専従で働く看護師の人数は?

日本看護協会の『2020日本看護協会調査研究報告』によると、全国の病院を対象に行った調査では、夜勤専従看護師を雇用していると回答した病院は46.0%、いないと回答した病院は52.6%でした。夜勤専従の看護師がいる場合の平均人数は1病院あたり正規雇用が3.6人、非正規雇用が1.8人、合計で5.4人という結果でした。パートなどより正社員の人数が上回っていることがわかります。

【参考】日本看護協会『2020日本看護協会調査研究報告』

夜勤専従勤務のルール

夜勤は健康・安全・生活のリスクがあります。そのため、夜勤専従勤務を導入するにあたって、十分に配慮することが必要です。日本看護協会では夜勤専従者に対して、日本看護協会では以下のように提示しています。

①本人の選択(夜勤に伴う心身の負担とその軽減策、処遇などについて十分な説明を受け、納得した上で、職員本人の希望によって勤務が選択されること)、②相応の報酬の支給、③十分な健康管理体制(夜勤専従勤務に就く前の健診の実施、労働安全衛生法の特定業務従事者健診、産業医の意見を聞く、健康状態に問題があれば直ちに夜勤専従勤務を解除する、など)に留意が必要

【引用】日本看護協会『看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン』

こうした夜勤専従勤務のルールはそれぞれの施設で就業規則に規定されています。自施設のものを確認してみましょう。

夜勤専従は月何回まで働けるのか

夜勤専従勤務の回数に法律的な上限はありませんが、日本看護協会のガイドラインでは月の夜勤時間数の上限を「144時間としています。また、常勤スタッフから夜勤専従者を出す場合、夜勤専従の期間は1カ月単位としているところもあれば、1カ月では身体が慣れないために負担が大きいものとして、2~3カ月としているところもあります。メリット・デメリットを踏まえて看護師本人と相談し、適切な期限を設定します。

夜勤専従のシフト例

看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドラインの勤務編成は以下の基準を設けています。

  • 勤務間隔のインターバルは11時間以上
  • 夜勤の連続回数は2連続(2回)までとする
  • 夜勤後の休息は24時間以上を確保することが望ましい
  • 少なくとも月1回は土日とも前後に夜勤のない休日
  • 交代の方向は正循環の交代周期とする

これら基準に沿って夜勤専従のシフト例を作成しました。参考にしてください。

シフト例:2交代の場合)1回の夜勤を16時間勤務とし、月9日の夜勤。
シフト例:3交代の場合)1回の夜勤を8時間とし、月18日(準夜9回、深夜9回)の夜勤。

以上は事例となるので参考にしてみてください。

夜勤専従の看護師の待遇

ここからは夜勤専従の看護師の給料や待遇について紹介します。

夜勤専従で働く看護師の待遇

『2020日本看護協会調査研究報告』によると、夜勤専従の看護師が「いる」と回答した病院では、夜勤専従者に対して負担にならないようルールを設けています。ルールの内容としては「本人の希望によって夜勤専従勤務を選択する」が最も多く78.7%、次いで「十分な健康管理体制をとる」が49.8%、「日勤を含む交代制勤務者が夜勤専従勤務をする場合、夜勤専従期間を期限付きとする」が41.1%という結果でした。また、看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドラインでは、夜勤専従勤務についてのルールを各施設で明確にして、就業規則などに規定することとしています。

夜勤専従勤務ルール(案)

▶夜勤専従勤務者の所定労働時間を設定する
  …夜勤時間数を月144時間以内とする、など

▶健康管理体制を整備する
  … 導入前の健診、労働安全衛生法の特定業務従事者健診項目を基本健診項目に追加、産業医の意見を聞く、など

▶相応の報酬を考慮する
  …手当の支給等(経済的報酬)、所定労働時間の短縮(時間的な優遇)など

▶期限つきとする
  … 期限を定めている例では1カ月~数カ月の例がある。また、予定期限前でも中止の申し出ができることが必要

▶本人の選択による
  … 夜勤に伴う心身の負担と軽減策、処遇などについて十分な説明を受け、納得した上で、労働者本人の希望によって勤務が選択されること

▶夜勤遂行可能な能力・経験をもつとの判断に基づく
  …夜勤専従勤務者自身が自律して夜勤を行える能力・経験があるか確認する

▶夜勤専従勤務者の負担が過重にならない
  … 新人、准看護師、補助者のみとの組み合わせにならないよう夜勤メンバーの配慮が必要

▶夜勤時間帯の業務整理を行う

【引用】日本看護協会『看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン』

常勤の場合には上記以外にも委員会やプライマリーナースの一時的な免除、有給休暇などを優先的にとれるようにしていることもあります。非常勤の場合には、土日のみ夜勤希望のように、曜日固定などシフトの配慮がなされているところもあります。

【参考】日本看護協会『2020日本看護協会調査研究報告』

「給料がいい」は本当?夜勤専従で働くメリット

夜勤専従のメリットは、連休の取りやすさや早起きをしなくても良いこと、夜勤手当による給料の増額が見込めるなどです。常勤と非常勤の場合ではやや状況が異なりますので、以下に紹介していきます。

常勤の場合

2交代制での夜勤専従では、まとまった勤務後は2連休以上の休みが取りやすいことがメリットのひとつです。早起きが苦手な人にとっては、朝ゆっくりしてから出勤できるメリットも大きいかもしれません。施設によっては、夜勤手当を出しているところも多いため、常勤より夜勤回数が多い分、月の給与が増えることもあります。例えば1回の夜勤手当が12,000円の場合、4~5回の夜勤と考えると、月の給与は常勤時のプラス48,000円~60,000円になります。

非常勤の場合

副業・兼業などで他の仕事をしている場合、夜勤専従で夜間だけ月に数回働くことで、不安定な収入をカバーできるというメリットがあります。少ない日数である程度の給料が見込めるという点は大きなメリットでしょう。派遣の場合は夜勤1回につき金額が決められており、時給や日給計算されていることが多いです。時給や日給は月に何回夜勤に入れるか、平日か土日か、オペがある日かない日かなどで変動します。例えば2交代の夜勤1回につき30,000円前後の場合は、月に10回働けば30万円となり他施設と掛け持ちで働くことでかなりの収入を得られることもあります。目標があって大きな金額を必要とする場合など、一時的にこうした働き方をする人もいるようです。

「きつい」「体を壊す」は本当?夜勤専従のデメリット

夜勤専従のデメリットは、常勤や非常勤に限らず、主にさまざまな心身への影響面で懸念されています。「きつい」「体を壊す」と言われるような、夜勤による長時間労働のリスクには以下のようなものがあげられています。

  • 概日リズムサーカディアンリズムの影響を受ける、睡眠の質低下
  • 夜勤のインターバルが11時間未満と短いと病欠日数や回数、針刺し損傷が増える
  • 夜勤を含む交代勤務では慢性的な病気と怪我・事故の懸念
  • ストレス解消機能の低下
  • 高血圧や心疾患などのリスク、ホルモンバランスの乱れに寄る糖尿病へ影響、発がんのリスク

日本看護協会でもなるべくその負担が軽減できるようにガイドラインや呼びかけなどを行っています。

働き方や待遇面においてのリスクもあります。とくに非常勤の場合、夜勤人数が不足しているところにフォローで入ることが多く、日勤のように人員補充がしやすくありません。そのため、1度の欠勤でも契約継続が厳しくなる可能性もあります。定期的な健康診断など待遇面は整えられていないところもあり、健康に関してはより自己管理が必要です。さらに、病棟内の普段の状態を知らないで夜勤に入ることが多いため、情報収集が難しい(特に深夜は患者も睡眠中のため)こともあげられるでしょう。

夜勤専従として働くうえで気を付けたいこと

夜勤専従として働くことを打診された、夜勤専従として働きたいと考えている場合に気を付けたいこととしては、夜勤導入時のルールや日本看護協会『夜勤・交代制勤務に関するガイドライン』の勤務編成の基準を守ること、それらがしっかりとルール化、就業規則などに明記されているかを確認することです。夜勤専従勤務の身体への負担を知り、夜勤専従として働くことが最適な選択か確認してください。夜勤専従は「本人の希望によって選択される」としているため、説明が不十分だったり待遇が保障されなかったりした場合は、断る・中止することを申し出て自身の健康を守ることも必要です。

【参考】日本看護協会『夜勤・交代制勤務に関するガイドライン』

メリット・デメリットを理解して夜勤専従で働く選択肢も

夜勤専従という働き方は、勤務の負担が大きいなどのデメリットばかりではありません。やりたいことを実現させるためや、ライフステージに合わせた働き方をしたい場合に有効な選択肢のひとつです。夜勤専従の実態を知り、メリットとデメリット両面を理解したうえで、自身の健康に留意しながら夜勤専従という働き方を検討していきましょう。

【参考】

看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン

疑義解釈資料の送付について

看護職の働き方改革の推進

看護職の夜勤交代制の負担軽減に向けた日本看護協会の取り組み

2020日本看護協会調査研究報告

夜勤専従者の「過重負担」を防ぎましょう!

交代制勤務看護師インターバルと疲労の勤務間回復に関する研究

安全,健康,生活を念頭においた看護師の1ヶ月72時間夜勤規制に関する研究結果概要

令和4年度診療報酬改定の概要 入院Ⅳ (働き方改革の推進、横断的個別事項) 厚生労働省保険局医療課

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