キャリア
  • 公開日: 2022/5/17

クリニック看護師の業務内容は?――給料から働くメリット・デメリットを解説

クリニックの看護師は、具体的にはどのような業務を行うのでしょうか。クリニック看護師の働き方の特徴やメリット・デメリットを解説します。クリニックのお仕事に興味のある看護師はぜひ参考にしてください。

クリニックの看護師はワークライフバランス重視の人におすすめ

夜勤や休日出勤がなく、残業も少ないクリニック勤務は、ワークライフバランスを実践したい看護師にとっては魅力的です。しかし「クリニックの看護師」といわれても、どんな働き方をするのかイメージできない人が多いかもしれません。クリニックでは病棟看護と異なる点が多々あります。今回は、クリニックの看護師の勤務体系・業務内容・給与だけでなく、メリット・デメリットまでわかりやすく解説していきます 。

クリニックに勤務する看護師の勤務体制の特徴は?

クリニックで働く看護師には、病院勤務とは異なる特徴があります。ここでは、勤務体制の3つの特徴を紹介します。

特徴1:平日の勤務がメイン

一般的なクリニックは、土曜日午後や日曜日・祝日が休診。勤務は平日が中心です。しかも午前と午後の診療時間が分かれているクリニックでは、午前中のみ・午後のみといった勤務も可能です。休憩が取りやすくワークライフバランスに合わせた働き方を実践しやすいことがクリニック勤務の大きな特徴と言えるでしょう。

ただし美容系クリニックは患者が受診しやすいように、土日・祝日・長期休暇を開院日としています。クリニックによって勤務日や休日は変わるため注意が必要です。

特徴2:休日が固定される傾向にある

多くのクリニックでは、休診日を独自に2日設ける週休2日制を取り入れています。週1日しか休診日がない、半日の休診日があるクリニックではシフト制をとっています。

年末年始やゴールデンウイーク、お盆など、カレンダーに合わせた休診日を設けるクリニックも多く、比較的長期休暇は取得しやすいと言えるでしょう。

ただし、特徴1でも述べたように美容系クリニックは土日・祝日・長期休暇に開院しているため、土日・祝日の休暇取得は難しい傾向にあります。

特徴3:夜勤がない

無床クリニックの場合は入院患者がいないため夜間業務はありません。最近では夜間診療を行うクリニックが増えており、終電間際まで勤務するケースもありますが、大多数のクリニックでは「夜勤はない」と考えて良いでしょう。

一方で、数は少ないですが、産科や美容系の有床クリニックには夜勤が発生します。ほかにも訪問看護や往診を行っていると、オンコール体制を取っている場合がありますので、クリニックでの勤務を希望する人は勤務体制を必ず確認しましょう。

クリニックの看護師の業務内容

クリニックでは診療科が決まっているため、どのような患者さんが来院するのかをある程度予測できます。業務を円滑に進めるため、当該科の専門的な知識とスキルがない場合には、採用につながらないケースもあります。クリニックの看護師の業務内容を特徴別に解説します。

診療の補助

クリニックの看護師のメイン業務は医師の診療の補助です。「医師の診療の補助」はクリニックごとに特徴があります。特徴別に3つのパターンにわけて解説します。

一般的なクリニック

医師の診療の補助がメインの業務になります。円滑に診療を行うためのバイタルサイン測定や問診、検査説明、療養指導といった診療介助のほか、採血や点滴・注射、怪我の処置などの処置介助もクリニックの看護師の重要な業務です。

手術や内視鏡に特化したクリニック

一般的なクリニックの業務に加え、手術や内視鏡の介助スキルが求められます。術前・術後の管理や、麻酔薬・鎮静剤を使用する患者の看護など、より専門的な看護の知識と技術も必要です。異常時・急変時を予測した適切な対応が求められるため、未経験の場合は自己研鑽が必須となるでしょう。

美容系

美容系クリニックでは、医療脱毛やレーザー治療の一部の処置は看護師が対応する場合があります。整形手術を行うクリニックでは手術の介助も必要です。ほかにも、カウンセリングやアフターケアの指導といった個々のケースに合わせた対応が求められます。クリニックによっては、治療の新規契約も看護師が担当することもあります。

訪問診療・往診の補助

最近では、内科に限らずさまざまな診療科で訪問診療や往診を行っています。訪問診療や往診に帯同するほか、点滴など処置のみの場合には看護師のみが訪問するケースもあります。看護師がどこまで訪問診療や往診に携わるかはクリニックによって異なり、正職員のみが担当する場合もあります。一般のクリニックに比べると高いスキルやアセスメント能力が求められます。訪問診療や往診を行うクリニックで働く場合は、事前に必要スキルを確認しましょう。

時には看護助手業務を行なうことも

病棟勤務とクリニックでは人員配置が異なります。病棟では看護助手や医療事務スタッフが行う業務も、人員が限られたクリニックでは看護師が担当するケースが多く見受けられます。具体的には、掃除や医療機器の洗浄・消毒、物品・薬剤の発注・管理、リネン交換など。これらをほかのスタッフと分担して行っています。

受付や患者呼び出し、電話対応、カルテ出し、検査データの整理、事務作業や受付業務を行う場合もあります。

クリニックで働く看護師の基本的な勤務体系

クリニックの看護師の基本的な勤務体系を紹介します。クリニックは診療科や対象患者によって、開院時間が異なっています。内科系の多くは朝早く、17時頃には勤務が修了するクリニックも少なくありません。

一方、往診や訪問診療も行うクリニックでは、午前・午後の診療時間の間に医師・看護師が患者の元を訪れます。そのため午後の診察開始時間が遅くなり、勤務終了時間も遅めになる傾向があります。美容系クリニックの場合、比較的遅い時間に開院します。反対に閉院は、仕事終わりの人が来院できるよう遅い時間になっています。

以下は、クリニックで働く看護師の勤務時間の一例です。

クリニックで働く看護師の一日のスケジュール

一般的な内科系クリニックで働くAさん 往診や訪問診療のある
クリニックで働くBさん
※開院時間内でシフト制
美容系クリニックで働くCさん
※開院時間内でシフト制
8時 8時半 出勤
受付・開院準備
8時半 出勤
受付・開院準備
9時 開院
診療の補助
開院
診療の補助
10時
11時 開院
診察や手術の補助、施術
12時
13時 午前中診療終了 休憩 午前中診療終了 休憩
14時
15時 午後診療開始 往診や訪問看護 交代で休憩
16時
17時 午後診療修了
清掃等済ませて退勤
18時 午後診療開始
19時
20時 午後診療終了
清掃等済ませて退勤
21時 診療修了
清掃等済ませて退勤

クリニックの看護師の給料は?

クリニックの看護師の給料はいくらくらいもらえるのでしょう?ここからは、平均的なクリニックの看護師の給与を、日本看護協会の調査をもとに紹介します。

給与の相場

クリニックの看護師は、月給制で働く場合と時給制で働く場合があります。正職員・パート・アルバイトの労働時間は労働基準法で「1日8時間かつ週40時間以内」と定められています。前述の月給や時給を1か月4週間として換算すると以下になります。

個人病院
平均基本給与額(円)
個人病院
時給換算(円)
新卒看護師の初任給 月額
(大卒)
209,350 1308.4
新卒看護師の初任給 月額
(高卒+3 年課程新卒)
202,941 1268.4
勤続 10 年、31~32 歳、
非管理職の看護師の月額給与
235,081 1469.3
非正規雇用看護職員(最低時給) 223,360 1396
(参考:2019年 看護実態調査結果(日本看護協会)p .40)

正職員と非正規雇用看護職員の給料を時給に換算して比較すると、ほとんど差はありませんが、非正規雇用看護職員は体調不良や家庭の都合で出勤日数が減った場合、給料が減ってしまいます。正職員は公休や有給休暇の範囲内であれば、大幅な給料の減額はありません。正職員と非正規雇用看護職員のどちらがよいかは、給与額だけでは簡単には決められないのです。

ボーナス

賞与を規定していないクリニック多数あり、ボーナス支給がない可能性もあります。一方でボーナスがなくても、経営状況や勤続年数に合わせて金一封が支給されるクリニックもあるなど、賞与に関してはさまざまです。美容系クリニックでは、新規契約数や施術内容・回数、美容用品の販売数の実績によってボーナス支給額が変動する場合もあります。

退職金

実は、退職金制度のないクリニックもあります。平成30年の厚生労働省の統計によると、医療・福祉分野で退職金制度があると回答しているのは、全体の87.3%。全企業の平均80.5%を上回っていますが、事業規模30〜99人となると、退職金制度のある企業は全体の77.6%です。

クリニックはさらに事業規模が小さく、従業員数も少ないため退職金制度がない可能性があります。転職・就職を希望している場合は事前に確認したほうが良いでしょう。

クリニックと病院勤務は何が違う?メリット・デメリットを解説

クリニックで働くうえでのメリット・デメリットを紹介します。

クリニックで働くメリット クリニックで働くデメリット
夜勤がなく、規則正しい生活ができる 夜勤がなく、夜勤手当がないため給料が低い
研究発表や学会発表がない 自己研鑽・スキルアップの機会は、自分で作らなければならない
少ないスタッフでアットホームな雰囲気 人間関係が濃い・相性が合わないと働きにくい
地域に密着した医療が提供できる 地元で働くと顔見知りの対応をする可能性がある
残業が少ない 残業代が稼げない、給料アップが難しい
クリニックの専門性に特化したスキルを身につけられる 幅広い知識やスキルを身につけにくい

ボーナスや福利厚生は、クリニックによって差が大きいため注意が必要です。特に従業員が5人未満の小規模クリニックでは、社会保険を完備していないケースもあります。その場合、自分で国民健康保険や国民年金に加入しなければならず、大きなデメリットとなるでしょう。就職や転職の際は就業する前に勤務先の福利厚生や社会保障制度も確認するようにしたいですね。

ワークライフバランスを重視して専門性を高める働き方ができる

クリニックは夜勤や残業がなく、子育てやプライベートとの両立を図りたい人におすすめの職場です。内視鏡や美容系といった専門的な医療を提供しているクリニックも多く、専門性を高めたい人にも向いています。パートやアルバイト、正職員と働き方もさまざまで、ワークライフバランスや人生設計に合わせた働き方ができるのも魅力です。働き方の選択肢の1つに、クリニック勤務を検討してみるのも良いでしょう。

【参考】

1) 平成30年就労条件総合調査 結果の概況(厚生労働省)

2)同上「退職給付(一時金・年金)制度」

関連記事