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  • 公開日: 2022/5/9

看護師に必要なコミュニケーションスキル――上手に伝える・聞く方法

看護師に欠かせないコミュニケーションスキル。上手なコミュニケーションは患者さんとのやり取りだけでなく、医療者間の連携も円滑にします。様々なシーンで活用できるコミュニケーション方法を紹介します。

看護の幅や可能性を広げるコミュニケーション

看護師に求められるスキルの1つに「コミュニケーション」があります。看護師は日常的に患者さんと関わり、時には悪い話や伝えにくい内容も話さなければなりません。臨機応変なコミュニケーションは、患者さんに寄り添った看護を提供できるだけではなく、医療者間の連携をスムーズに進める効果もあります。今回は看護のあらゆる場面で活用できるコミュニケーションスキルを紹介します。場面に合わせたコミュニケーションスキルを活用して、仕事が聞き上手、伝え上手な看護師を目指しましょう。

看護師に必要な7つのコミュニケーションスキル

患者さんやご家族だけでなく医療者間でもコミュニケーションに悩んだり、迷ったりする場面はあるでしょう。何を伝えればいいのか、どうやって聞けばいいのか、きっかけとなる一言が出てこないこともあるかもしれません。ここからは、看護師がさまざまな場面で活用できる“7つのコミュニケーションスキル”をお伝えします。場面に応じて上手なコミュニケーションが取れる看護師を目指しましょう。

コミュニケーションスキル 1:情報の具体化を意識する

情報の具体化を意識すれば相手とスムーズな情報共有が可能です。これにより認識のズレがなくなり、仕事を円滑に進められます。ビジネスコミュニケーションには3つのポイントがあります。

ポイント1「伝える力」

コミュニケーションには「相手に自分の話を正しく伝える」という目的があります。 伝えることが苦手な人は次の3つを意識してみましょう。

話のゴールを意識する 自分が何を伝えたいか、相手に何を理解してほしいかを明確にして話す。
「話のオチは?」「何を知ってほしいの?」を意識しましょう。
わかりやすく伝える 相手が理解できる言葉で話す。専門用語や略語をできるだけ使わず、相手が理解できる・知っている言葉で伝えます。
曖昧な言葉は使わない 「すぐに」「思います」のようなあいまいな言葉はできるだけ避けましょう。 「すぐに」は「5分後に」と言い換えるだけで、相手も見通しをたてやすくなります。

ポイント2「聞く力」

伝えるだけではコミュニケーションは成立しません。次の3つを意識して、相手の話をよく聞きましょう。

相槌やアイコンタクトをとる 相槌やアイコンタクトには、伝えた側が承認や受け入れてもらっていると感じる効果があります。
話を最後まで聞く 話を最後まで聞くことは相手を否定せず受け入れることにも繋がります。自分のタイミングではなく相手のタイミングで話が切れた時が“話の最後”です。
沈黙を恐れすぎない 会話が途中で切れてしまうことは、あなたのコミュニケーションが悪いからではありません。相手が思いを整理する時間も作るようにしましょう。時には沈黙も必要です。

ポイント3「質問する力」

話したり聞いたりするだけでなく、相手の言葉を深掘りし聞き出すことが大事です。

正解を聞かない 医療場面では答えの出ないことが多くあります。迷う過程「今の思い」も大切にしましょう。
二者択一にしない こちらから答えを提示するのではなく、相手が答えを導き出せるよう可能性を広げることが大切です。
5W1Hを意識する Who(だれが)When(いつ)、Where(どこで)、What(なにを)、Why(なぜ)、How(どのように)を明確にすると内容が理解しやすくなります。

適切な治療のためには、患者さんとの円滑なコミュニケーションが欠かせません。コミュニケーションが円滑になることで、相手との信頼関係を築くこともできます。コミュニケーションが苦手な人にも、ぜひ押さえて欲しいスキルです。

コミュニケーションスキル2 :ノンバーバル(非言語的)コミュニケーション

ノンバーバルコミュニケーションは「非言語的コミュニケーション」とも呼ばれ、言葉以外のコミュニケーションを意味しています。有名な『メラビアンの法則』では、初対面の人に与える影響を以下のように示しています。

ナース専科スクエア_メラビアンの法則

実は言語情報で伝わるのは全体のたった7%。1割弱しかありません。人の第一印象は初めて会った時の3~5秒で決まってしまうため、円滑なコミュニケーションのためにノンバーバルコミュニケーションが重要になってきます。ノンバーバルコミュニケーションを意識することで相手にポジティブな印象を与えることもできます。以下にノンバーバルコミュニケーションのポイントを紹介するので、ぜひ参考にしてください。

  1. 身だしなみを整える
  2. 相手が話しやすい環境・空間をつくる
  3. 表情を明るくしたり、真剣にしたりする
  4. 身振り手振りを付ける
  5. 相手のペースに合わせて話す
  6. 相手の目をみて話す
  7. 相槌をうつ
  8. 大きな声ではっきりとしゃべる
  9. 感情をしぐさや表情で表す

コミュニケーションスキル3:感情に共感する「NURSE」

「NURSE」とは、日本看護協会の緩和ケアテキストで紹介されるなど、がん看護領域全体で注目が集まっているコミュニケーションスキルです。NURSEは日本発祥のコミュニケーションスキルで、とくに「感情に共感するスキル」に注目しています。NURSEを活用すると、基本的なコミュニケーションスキルから一歩踏み込んで、患者さんをより深く知ることができます。「NURSE」はコミュニケーションに欠かせない、以下の5つの言葉の頭文字をとっています。具体例とあわせて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

具体例
N Naming 命名 患者の感情に何が起きているのかに注目するため、具体的な形容詞を用いて感情を命名する。
患者の言うことをよく聴き、感情を理解したいというメッセージを送る。
「(痛みがつらくて)イライラされているようですね」
「とても気がかりなことがあるようですね」
U Undersutanding 理解 患者の感情的な反応は理解できることを表明する。
患者の困難な状況や感情を敏感に理解し、受け入れ、関係を構築する。
「そのような痛みを経験されて、さぞ辛いでしょう」
「そう感じるのも当然かもしれないですね」
R Respection 承認 感情だけでなく姿勢・態度・人格・対処方法を含め賞賛する。NURSEの中で、最も難しく意識しないとできないスキル 「そのような辛い頭痛があるにも関わらず、今まで頑張って治療を続けてきて、さらにその他の身の回りのこともきちんとしてきたなんて、すごいですね」
「よく頑張ってらっしゃいますね」
S Supporting 支持 私はあなたを援助したいということを患者に明確に伝える。患者とのパートナーシップを表明する。 「私とその他のスタッフがいつでも、あなたの頭痛を和らげるために協力します」
「つらかったらいつでも教えてください」
E Expioring 探索 患者が話すいくつかの感情に焦点を当てて質問し、関心を持って尋ねていく。共感の関係を深める手段ともなる。 「その頭痛のせいでどのように困っていらっしゃるか、よかったらもう少し教えてもらえますか?」
「つらいときには、いつでも連絡をください」

NURSEのスキルを身につけるためには、ロールプレイングが効果的です。新人研修に取り入れる医療機関も増えていますので、機会があればぜひ受講してください。患者さんの気持ちに、より深く寄り添える看護師になるでしょう。

コミュニケーションスキル4:伝えづらいことを緩和する「SPIKES」

医療現場では、悪い知らせを伝えなければならないこともあります。独特の重苦しい雰囲気にどう対応したらいいかわからない時には「同席したくないな」と思う看護師も少なくないでしょう。「悪い知らせを話し合う」ときに役立つコミュニケーションスキルがSPIKESです。

具体例
S Setting 設定 説明をおこなう環境を整える。 あらかじめ日時を設定し、十分な時間をとる。個室でプライバシーが保たれる環境を提供する。一緒に聞いてくれる人がいる場合は、同席を依頼する。
P Perception 認識 患者が病気についてどの程度理解しているかを知る。 「A さんはご自身の病気を先生からどのように聞いていますか?」
I Invitation 患者からの求め 患者がどの程度知りたいのかを知る。 「A さんはご自身の病気について、どこまで知りたいですか?」
「悪い知らせも、 良い知らせもお話しして良いでしょうか」
K Knowledge 知識 情報を共有(開示)する。 「今回お話しするのは、あまり良いお話ではありません。 A さんの状態はあまり良くなく、予後は2週間程度です。お誕生日を迎えるのは難しいかもしれません」
E Emotion 患者の感情 患者の感情に共感する。 「辛い話をして申し訳ありません」「思っていたようなお話ではなかったですよね」
S Strategy/Summary 戦略と要約 今後の計画を立て、簡潔にこれまでの説明を要約し、次回の面談の約束をする。 「今回のお話で分からなかったことはありませんか?」「また来週お話をしましょう。何かあればいつでも声をかけてください」「 A さんのお話を聞かせてください」

コミュニケーションスキル5:ポジティブフィードバックが可能な「PREPARED」

命を脅かす病気や、限られた予後の患者さんやご家族とのコミュニケーションで役立つスキルもあります。「PREPARED」は傾聴・共感・保証・ポジティブフィードバックなどのスキルを使い、患者さんとの関係性を構築していくスキルです。PREPAREDを活用すれば、シビアな場面でも患者さん・ご家族とコミュニケーションしやすくなります。

具体例
P Prepare for the discussion,where possible 話し合いの準備をする SPIKESと同様に、説明をおこなう環境を整える。 あらかじめ日時を設定し、十分な時間をとる。個室でプライバシーが保たれる環境を提供する。一緒に聞いてくれる人がいる場合は、同席を依頼する。
R Relate to the person 関係性の構築 自己紹介をし、自分が誰でどのような目的で同席しているのかを説明する。 「私はAさんの担当看護師のBです。今日は医師とのお話に同席させていただきます」
E Elicit patient & caregiver preferences 患者・介助者の意向を引き出す 患者・介助者がどのように考えるか、思いや訴えを聞く。 「お話を聞いて、どのように感じましたか?」
P Provide infomation 情報提供 嘘やごまかしなく可能な範囲で情報を提供する。 「質問があれば、なんでも聞いてください」
A Acknowledge emotions & concerns 感情や心配事を認識する 感情に焦点をあて、心配事や気がかりなこと、不安なことを共有する。 「Aさんは○○に対して、そうお考えなのですね。とても不安ですよね」
R Realistic hope 現実的な希望を培う 叶えたいことや、逢いたい人がいるかなど具体的に希望を聞いていく。 「AさんはMさんに逢いたいんですね」「Mさんと桜を見ることを目標にしたいんですね」
E Encourage quesions 質問を促す 患者・家族からの自発的な発言を促す。 「ほかに聞いておきたいことはありますか?」
D Document 記録する 適切な記録ツールを使用し記録する。 インフォームドコンセント記録など、所定の様式に記録する。話し合いの日時、参加者なども記録する。

コミュニケーションスキル6:患者さんのご家族とのコミュニケーションには「VALUE」を活用する

患者さん本人ではなく、ご家族につらい話をしなければならないこともあります。VALUEは「家族との話し合い」で活かせるコミュニケーションスキルです。VALUEの順番に聞くのではなく、会話の中でうまく組み合わせるのがポイントです。ご家族の思いを認めることは関係性の構築にも重要です。傾聴し、敬意を払いながら、揺れ動くご家族の思いを引き出し寄り添います。

具体例
V Value 価値 家族の⾔っていることの価値を認める。 「患者さん、ご家族皆さんの思いがよくわかりました。とても大切なことを教えてくださり、ありがとうございます」
A Acknowledge 認める 家族の感情を認め、その感情に医療者が気づいていることを伝える。 「このお話は、思っていたような話ではなかったようですね」
L Listen 聞く 話や思いを聞く。 「Aさん(患者)は、いまの状況をどう思うでしょうか?」
U Understand 理解 他⼈と違う一個⼈として患者を理解するための質問をする。 「病気になる前に、Aさん(患者)はどんなことが好きでしたか? 楽しみにしていることはありましたか?」
E Elicit 引き出す 家族からの質問を引き出す。 「お話を聞いて不安に思っていることはありますか?」

コミュニケーションスキル7:患者さんの急変時に役立つ「I-SBARC」

臨床では聞くだけではなく伝えるスキルも重要です。とくに報告に関しては「うまく報告できない」「報告しても突っ込まれてしまう」と、日々悩んでいる人もいるでしょう。報告がうまくいかない原因の1つに、要件が手短かつ明瞭に伝わっていないことがあります。そんな看護師に身に着けてほしいのが伝えるためのスキルが「I-SBARC」です。I-SBARCは電話での報告時にも役立ちますし、インシデントの予防にも繫がります。

具体例
I Identify 報告者と患者の同定 報告者の所属・指名、患者の氏名を伝える。 「私はB病棟の看護師Cです。●号室のAさんの報告をします」
S Situation 患者の状況・状態 患者の状態を伝える。 「Aさんの呼吸苦があり酸素飽和度が80%代に低下し酸素投与を開始しています」
B Background 臨床経過 患者の入院理由・経過・バイタルサイン・フィジカルアセスメントを手短に報告する。 「Aさんは肺がんのStageⅣで緩和ケア目的で入院されています。日中は酸素飽和度は問題ありませんでしたが、30分前に呼吸苦を自覚され酸素飽和度の低下をみとめました。経鼻カニューレで酸素投与5Lで開始していますが、呼吸苦の改善が認められません」
A Assessment 状況評価 自分のアセスメントを報告する。 「病勢の進行による、急激な呼吸状態の悪化をみとめています」
R Recommendation 提言または具体的な要望・要請 どのような対応を求めているか伝える。 「状態が改善しないため、診察をお願いします」
C Confirm 指示受け内容の口頭確認 医師の指示を口頭で確認する。 「わかりました。経鼻カニューレから、リザーバーマスクに変更します。採血の準備をします。病室で診察を待っています」

上手に「伝える」「聞く」ができる看護師を目指そう

看護師として経験を重ねても、悩むことが多いコミュニケーション。相手や状況によって求められる対応が異なるため、対応を間違えると信頼を失うかもしれないのが、コミュニケーションの怖いところです。看護師のコミュニケーションは、傾聴と相手への配慮が重要です。状況に合わせたコミュニケーションスキルを展開していきましょう。この記事を参考に、上手なコミュニケーションができる看護師を目指してください!

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