キャリア
  • 公開日: 2022/2/24

将来看護師としてどうなりたい?看護学生300人に聞いたキャリアプラン

看護師としてスタートする時期に、ある程度キャリアプランを立てておくことは大切です。今回は入職前の看護学生300人に、看護師のイメージやキャリアプランについてアンケート調査しました。まだキャリアプランが定まっていない人はぜひ参考にしてみてください。

看護学生は現在どのようなキャリアプランを持っているか?

妊娠・出産を経ても看護師として続けていけるのか、また、資格取得やキャリア形成に関しては、早い時期から興味関心があるようです。実際に看護学生はどのようなキャリアプランを考えているのか、アンケートを取りました。

アンケートでは7割以上の看護学生がなんとなくでもキャリアプランを持っていることがわかります。学生時代に授業や実習を通して、自分はこういう分野が合うだろう、また興味があると考える人も多いのではないでしょうか。また、入職時の面接では希望する配属先を事前にヒアリングされることも多いようです。そのため入職してからキャリアプランを考えるというより、入職前から考える機会が多いのかもしれません。

看護師としてどんなキャリアを考えていますか?

アンケート内で、具体的なキャリアプランがあると回答した看護学生のなかには、スペシャリストとして認定や専門看護師などの特定の分野で働きたいと考える項目が最も多かったです。次いで、ジェネラリストとしてさまざまな分野で経験を積みたいと考える人が多いこともわかりました。認定や専門看護師などは、キャリアアップのルートとして比較的知名度も高く選択する人が多い選択肢です。そのため、実践モデルとして看護学生でも具体的な理想や目標としやすいのかもしれません。

その他のキャリアプランを選んだ人の回答は?

その他のキャリアプランに関してはさまざまな回答がありましたが、以下のような項目が目立ちました。

クリニックや施設

夜勤がない働き方や休日や労働時間が固定となっているところ、残業が少ない・定時で帰れる、これまでの経験を生かした働き方などでクリニックや施設などを視野に入れる人も多いのではないかと思います。

海外留学、ボランティア

ワーホリや災害医療、へき地医療などに興味のある看護師にとっては、海外留学やボランティア活動などで海外に行く人も少なくありません。そのまま働くフィールドを海外に移し、国際医療の発展に貢献していく人もいます。

教員

大学院進学や教育指導などを経験することで、看護師や看護学生の教育に関心を持つ看護師も多いです。看護師の働く現場、教育体制を整えたい、変えたいと教員への道を考える人もいるようです。

企業、産業保健分野

医療・ヘルスケア関連の企業で医療系の国家資格を持っている人を積極的に採用する流れもあり、医療従事者のセカンドキャリアとして企業で働く看護師も増えてきています。また保健師の資格などがあれば、産業保健師として企業勤めを考える人もいるでしょう。

助産師や保健師の資格取得

看護師の資格があれば、養成機関で1年学ぶことで助産師や保健師の受験資格を得ることができます。公衆衛生や周産期領域などで働くことを考えた場合に、有利に働く資格として取得する人も多いかもしれません。

結婚や子育てなどのライフステージが変化しても継続して働きたい

常勤だけではなく夜勤なしの勤務や時短、パート、派遣など、非常勤としてライフステージに合わせて働き方を変えても看護師として働いていきたい、ワークライフバランスを重視して働きたいと考える人も多いようです。

看護師としてずっと働きたいと思いますか?

7割近くの学生が看護師の仕事を続けていきたいと回答しています。看護学校で授業や実習を通して専門的に学び、国家試験に合格したため、資格を生かして働き続けたいと考える人が多いのかもしれません。また定年後も看護師として働く、プラチナナースという言葉があります。一度現場を離れても、再度看護師の仕事に戻ってくる人がいるように、看護師のキャリアプランは多種多様です。

新たな資格取得でダブルライセンスという選択肢も?

将来取得しようと考えている資格についてアンケートした結果、以下のようになりました。

アンケートでは、認定や専門看護師の資格取得が上位にあがりました。また特定の資格はないけれど、将来的になにか資格を取りたい、もしくは保健師や助産師などの国家資格のダブルライセンスを視野に入れている人もいました。看護師の資格だけではなく、プラスαで幅広い分野でのキャリアプランを考えている人が多いことがわかります。

人気の認定看護師分野

取得を希望している認定資格を聞いたところ、同率を含め以下の10分野がラランキングの上位に上がりました。

認定看護師分野

クリティカルケアや緩和ケア、認知症看護、小児プライマリケアなどは、病院だけではなくクリニックや在宅、訪問看護などでも活用できる資格です。また緩和ケアや認知症などは近年注目されている分野であり人気の高さがうかがえます。認定看護師と聞くと、大学や総合病院などの中規模から大規模な病院に所属しているイメージが強いかもしれません。しかし実際は、訪問看護や施設など幅広いフィールドで活躍しているのが現状です。

2021年12月末日現在では、認定看護師の総数はA課程とB課程(※)含めて22,577人となっています。

※補足
A課程、B課程とは
A課程認定看護師教育機関
特定行為研修を組み込んでいない認定看護師教育機関
・2026年度をもって教育を終了します。
B課程認定看護師教育機関
特定行為研修を組み込んでいる認定看護師教育機関
・2020年度から教育を開始します。

引用:認定看護師(日本看護協会)

また、認定看護師の総数の内訳として、人数が多い順にすると以下のようになります。

A課程
感染管理 2,930人
緩和ケア 2,568人
皮膚・排泄ケア 2,213人
認知症看護 1,935人
がん化学療法看護 1,648人
B課程
皮膚・排泄ケア 428人
クリティカルケア 359人
感染管理 145人
糖尿病看護 127人
認知症看護 79人

引用:都道府県別認定看護師【A課程】登録者数(日本看護協会)
認定看護師【B課程】登録者数(日本看護協会)

人気の専門看護師分野TOP10

取得を希望している専門資格を聞いたところ、同率含め以下の10分野がランクインしました。

認定・専門看護師ともにクリティカル領域、がん看護、小児看護の資格は人気があるようです。病院のみならず地域でも需要のある分野であり、より専門的に、体系的に学びたいと考える意欲の高い人が多いのかもしれません。特に災害看護や在宅看護の専門看護師は2012年以降に認定開始となり、比較的新しい分野でもあります。日本の昨今の災害状況や在宅医療への切り替えによる影響も、大きく関係しているのかもしれません。

2021年12月末日現在で、専門看護師の総数は2,944人となっています。専門看護師の総数の内訳として、人数が多い順にすると以下のようになります。

がん看護 995人
精神看護 389人
急性・重症患者看護 353人
小児看護 288人
慢性疾患看護 247人

引用:分野別所属先種別登録者数一覧(日本看護協会)

看護師としてスペシャリストを目指すための、認定や専門看護師の資格取得は今後も需要が高まりそうです。自分が興味のある分野や極めたいと思う分野がはっきりとしている人、またキャリアアップを目指す人にとっては、注目すべき資格と言えるでしょう。

キャリアプランを明確にして将来なりたい看護師を目指そう

これまで国家試験に合格、また卒業することを目標としていた看護学生が、看護師として働く上でより具体的に看護師のイメージやキャリアプランを描いていることがわかりました。入職前後に関わらず、将来やキャリアプランに関する不安は少なからずあることでしょう。だからこそ、自分はどんな看護師になりたいのか、またどのような看護をしたいのか、いまから少しずつ考えはじめていきましょう。

参考

・認定看護師数推移(日本看護協会)
https://nintei.nurse.or.jp/nursing/wp-content/uploads/2022/01/CN_suii_202112.pdf
・分野別所属先種別登録者数一覧(日本看護協会)
https://nintei.nurse.or.jp/nursing/qualification/cns
・都道府県別専門看護師登録者数【A課程】(日本看護協会 認定部)
https://nintei.nurse.or.jp/nursing/wp-content/uploads/2022/01/CNS_map202112.pdf
・都道府県別専門看護師登録者数【B課程】(日本看護協会 認定部)
https://nintei.nurse.or.jp/nursing/wp-content/uploads/2022/01/CN_B_map_202112.pdf

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