• 公開日: 2019/4/25
  • 更新日: 2019/7/16

良識を持つはずの医療者の間でいじめが起こる理由。社会学から考える病院でのいじめ【2】

こんにちは、看護師のsin.cos.tanです。 前回、いじめ加害者の心理、いじめることのメリットについて触れました。

今回は、集団(病院組織)という視点から、いじめを捉えてみたいと思います。 「人の命を救いたい、健康を守りたい」という共通目標を持つ、医療集団でなぜいじめが起こるのか?そして、なぜ止めないのか?を考察していきます。

良識を持った医療者の間でいじめが起こるのはなぜか?

集団という視点から考える

いじめを傍で見ているはずの医療者。しかし、なぜいじめを止めないのかを不思議に思います。 教科書としてよく使われている文献、「精神看護の基礎」でこのような文があります。

集団というのは、その中で不安が生じると退行し、依存的になる

「精神看護の基礎」第4章 関係のなかの人間より

実は集団というものは、単純な個人の足し算にはなりません。グループになった途端、1人では想像もできない行動をとることがあるのです。

たとえば、暴走族やサッカーファンの暴徒化(フーリガン)など、渋谷ハロウィンの暴徒化も記憶に新しいことでしょう。

病棟の中のスタッフもいわば集団です。 同じようなことが起こるのでしょう。しかし、退行し依存的になった結果、何が起こるのでしょうか?

それは、生贄(いけにえ)の存在です。

生贄的役割の人がいることで、集団が一致団結(凝集性)しようとする働きが生まれます。詳しく見ていきましょう。

 

生贄が生まれるメカニズム

  1. グループの中に不安が生じる
  2. それにより依存的になる
  3. その依存が満たされないと、今度は分裂(スプリッティング)しようとする
  4. そこから対立や抗争が生じたり、特定のメンバーを標的にして全員で攻撃する
  5. 結果、グループの分裂を防ぐことになる

このような闘争モードに入り、戦う相手を作ります。

つまり、集団が分裂しないために特定の敵を作るのです。

いくらベテランの医療職でも、病院という命の現場での業務は、不安の連続。 消化できることのない連続した不安が、依存や退行が生じさせているのは間違いないでしょう。

いわゆる「お局様」と呼ばれるいい大人が、ワケの分からないルールを振り回し、横暴な態度を撒き散らす。それも依存や退行の表れなのかもしれません。

いずれにしても、今にも分裂しそうな集団(病棟)を繋ぎ止るために、生贄が必要な状態になってしまっていると考えられます。

その生贄が、新人看護師になってしまっているのではないでしょうか。

なぜ周りの人はいじめを止めないのか?

「最初は普通に接してくれる先輩達もいました。でも今は…

 

この続きは会員登録をすると
見ることができます。

会員登録(無料)
すでに会員の方は、続きは↓2ページ目↓で

関連記事